「こんな工事頼んでない。全部やり直せ!」。このような事実に反する苦情や法外な要求をする「モンスタークレーマー」は、近年大きな社会問題となっている。しかしクレームは正当なものも多いため、決しておざなりにはできない。今回は「悪質クレーム」を取り上げ、その事例と対処法を解説する。
身に覚えがない叱責
東京都でリフォームを行うA社は、今年2月に深刻なクレームトラブルに見舞われた。マッチングサイト経由で成約した案件だったが、着工してから雲行きが怪しくなった。
B社長は施主とのやり取りをこう振り返る。「一緒にショールームに行って商品を決めたのに、取り付けた後に『そんなものは頼んでいない』とお叱りを受けました。それだけでなく、家財道具を移動させた物置から『物がなくなっている』などと、様々なところでクレームを言われました」
何とか完工まで漕ぎ着けたが、その後「床が傷ついている」との呼び出し。訪問すると、施主が掃除の際に床を傷付けていたことが分かった。
同行したメーカー担当者が「普通に生活していれば傷はつかない」と説明しても納得は得られなかった。工事費用は900万円だったが、取り換え、追加工事、人工代がかさみ、ほぼ赤字。担当した営業社員によると、打ち合わせ段階で、値引きを匂わす発言もあったという。

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