優秀な人材の獲得や流出防止のためには、賃上げや将来の年収のイメージが分かる昇級テーブルが欠かせない。各社の取り組みをリポートする。
リフォーム業界の賃金・報酬制度
商圏拡大、出世受け皿に
福島県を基盤に年間2600棟の外壁塗装を手がける郡山塗装(郡山市・年商38億円)。2022年4月期の住宅リフォーム売上高は11億7000万円に対し約4割増となる17億円に伸びた。外壁塗装会社としては県下1位の売上規模だ。
原動力となったのは「人材採用」にあると、佐藤隆社長は力説する。同社の従業員数は132人でうち半数が20代。2割以上の35人が過去4年間での入社だ。新卒採用は前年8人に対して今年は倍近くの15人に増えたほか、アパレルや飲食などの異業種で実績を積んだやり手の営業マンのキャリア採用も相次ぐ。
なぜここまで続々と人が集まるのか。それは、同社が示すキャリアビジョンにある。「『ひとりひとりが社長だから』と言ってくれた、佐藤社長の言葉が忘れられません」と、入社を決めた当時を振り返るのは、現在、取締役を務めている男性社員だ。
例えば、佐藤社長が社員に目指すべき指標として掲げているのは、年収800万円以上だ。「店長からエリアマネージャーに昇進すれば、可能になります」。国税庁の「民間給与実態統計調査(令和2年分)」によれば、年収800万円以上の割合は全体の1割未満。いかに人気塗装会社のトップ営業マンといえど、実現することは難しいのではないか。

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