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省エネ機器の「贈与」開始へ年間5,000億円の市場創造図る

省エネ機器の「贈与」開始へ 年間5,000億円の市場創造図る

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  太陽光等の省エネ機器による資産継承である「緑の贈与」が始まろうとしている。推進するのは環境対策研究などを行う地球環境戦略研究機関(神奈川県三浦郡・以下IGES)。親から子や孫へ省エネ機器・改修の贈与を行うスキームを構築し、年間5000億円のマーケット創造を図る。

 「緑の贈与」とは、高齢者から現代世代に資産継承する際、現金や株ではなく省エネ機器の購入費を非課税で贈与する仕組み。

 例えばある祖父母が270万円で太陽光や省エネ給湯機の費用提供を息子夫婦にするケースでは、16万円の贈与税が非課税となる。太陽光は売電収入が長期で見込めるため、現金贈与と同じ効果を生み出しながら、クリーンエネルギーの普及に貢献できる制度だ。

早ければ来年度から運用スタート

早ければ来年度から運用スタート

 国土交通省でも住宅リフォームにおける贈与税の非課税制度を設けているが、一定規模以上の工事が対象であり、単純な省エネ機器の導入は含まれていなかった。2050年までには、先進国のCO2排出量の9割削減が必要といわれている中、市場の中で多数の工事を占める500万円以下の工事に利用できる形としたことで、再生可能エネルギー市場の拡大、低炭素製品の普及を進める。

 「個人金融資産1600兆円のうち、6、7割は高齢者が所持されているといわれています。ただ、太陽光や断熱改修は元が取れるまで時間がかかるという意味では高齢者と相性が悪い。その一方で、30代、40代は貯蓄がマイナスという現状で、太陽光などの高額機器に予算を出せません。緑の贈与は、年間4兆円以上といわれている贈与の一部をリフォームに回してもらうスキームです」(松尾雄介グリーン経済領域マネージャー)

 昨年度始まった教育資金の非課税贈与制度では6月末までの1年強で5000億円以上の贈与が行われた。IGESでは、本制度が実現されると、教育資金贈与と同様に5000億円のマーケット創造につながると見込んでいる。

 「緑の贈与」創設に向け環境省より平成27年税制改正要望が提出された。予算が通れば、早くて来年の4月から制度の運用がスタートする。

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