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- > 電子契約の法律違反に注意国交省マニュアル遵守が必須
近年、リフォーム業や不動産業界では印刷代や郵送代の削減、場所や時間に制約されずに契約を締結できる電子契約サービスが急速に普及している。ただ、国土交通省が出しているマニュアルを遵守せずに利用しているケースがあり、早急な改善が求められている。そこで、不動産電子取引サービス「PICK FORM(ピックフォーム)」を展開するPICK(東京都目黒区)の執行役員CRO・阿部幸平氏に、電子契約を導入する際の注意点を聞いた。
急速に進む
契約書のデジタル化
PICKが提供する不動産取引で電子契約を利用する際のチェックリスト
近年は、中小のリフォーム事業者にも電子契約が浸透しつつある。PICKの阿部幸平氏によると「2024年になり、多くの会社が現場で利用するようになりました。去年でフェーズが1段上がった印象です」と話す。
背景にあったのは、2024年問題などで労働時間が制約された点と、人材不足の深刻化だ。契約を電子化することで、リフォーム会社は契約のために現地訪問する回数を削減できる。課題とみられていた高齢のユーザーの利用も問題ないケースが多かったため、活用が推進していった。
ただ、電子契約を導入するには国土交通省のマニュアルに対応する必要がある。不動産契約書であれば宅建業法、工事請負契約書であれば建設業法の要件を満たさなければならない。宅建業法は2022年5月18日に改正され、電子契約サービスの利用がスタートした。これに伴い、国土交通省から60ページに及ぶ電子契約マニュアルが公開され、2024年12月には新たにマニュアルの追加項目となる内容が発表されている。
契約書に不備がある
マニュアル内の重要なポイントは以下の3点となる。1つ目は宅建業法への対応だ。宅建業法には第35条の重要事項説明書と第37条の宅建業者が交付する書類の2種類が存在するが、先に第35条の重要事項説明書にサインしてもらう必要がある。紙による契約の場合、どちらを先にサインしたかを確認するのは難しいが、電子契約ではいつサインしたか履歴データが明確に残る。阿部氏は「1秒でも早く37条の書面にサインすると一発で業法違反になります」と指摘する。
2つ目は、電子契約を開始する前の措置。開始する前に取引先から書面で同意を得る必要がある。これは、宅建業法と建設業法の共通事項となっており、同意書を紙で用意するなどして押印をもらう必要がある。
3つ目は、重要事項説明書の原本の保管について。紙の契約書では全員が署名捺印した書類が原本とされていた。しかし、電子契約の場合、重要事項説明を行う前に改ざん防止措置を施されたものが原本と定義され、その保管が必要になる。
他にも、金融機関の融資を受ける際は、提出書類にも注意が必要だ。電子契約を締結した後、契約書をプリントアウトすると契約IDが右上に印字される。これが割印の役目を果たすのだが、電子契約サービスによっては1ページ目にしか印字されない。この場合、金融機関が2ページ目以降の書類を同一書類として認めないケースもある。
この課題に対応するため、契約書類の全ページに契約IDが入る対策を講じている電子契約サービスもある。
電子契約の活用が進む今こそ、法律違反にならない対応が必要とされている。
執行役員CRO
阿部幸平氏
会社名 | :PICK |
---|---|
代表者名 | :普家辰哉 |
本社所在地 | :東京都目黒区 |
設立年 | :2021年8月 |
資本金 | :1億円 |
事業内容 | :不動産テックサービス「PICKFORM」の企画/開発/運用。不動産・建築コンサル |

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