※ウッドショック問題についての続報記事はコチラ↓
「世界中が木材不足に」国際機関が警鐘 ウクライナ危機でウッドショック長期化、林野庁は「自給率5割」訴え(2022/04/25発行)
ウッドショックはいつまで続く? 合板は価格4割増+納品遅延も
新型コロナウイルスの感染拡大により、アメリカで在宅時間が増大したことに端を発する「ウッドショック」。先物価格は昨秋は減少傾向にあったが、オミクロン株の流行もあって今年に入り再び上振れしている。その影響は杉やヒノキなど国産材にも波及。木材流通業者からもまだまだ影響は続くとの声が上がる。
【リポート/編集部 芦原拓】
先物価格は半年で3倍に上昇、杉やヒノキなど国産材に飛び火
「『ウッドショックは落ち着いた』という声をあちこちで聞くようになりましたが、本当でしょうか。情報は錯綜していますが、総合的に分析すると、まだ終わらないと思います」と口にするのは、木材の流通会社である川上木材(宮崎県宮崎市・年商7億円)の川上宰社長だ。同社は米国の材木先物価格データを参考に市況を予測している。
実際、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引される材木先物の終値は、昨年5月に過去最高値である1000ボードフィート(約2.36立米)あたり1670米ドルを記録したが、その後は下落が続き8月は3分の1以下の454米ドルに低下。だが昨年11月から再び上昇し、今年1月には1329ドルに達した。
上昇と下落を繰り返すなど、先が見通せない状況になっている。米国の住宅市場が活況なのはコロナ禍での消費を促す米連邦準備理事会(FRB)によるゼロ金利政策が背景にあったが、今年からは一転して利上げを促進してインフレを是正。再び下落傾向にあるのはFRBの意図するところだ。
「昨年末からオミクロン株の流行により再びアメリカの住宅市場が活性化している。台風などの災害が相次いだことも影響を与えた。夏には外材の価格がさらに上がるかもしれない、と懸念しています」と、川上木材で仕入れを担当する井手浩一朗氏は話す。台風とは昨年12月に、アメリカ南部や中西部6つの州で相次いで発生した巨大積乱雲「スーパーセル」のことで、これが木材流通を滞らせたとされる。
国産材は供給追いつかず、サプライチェーンに課題
飫肥(おび)杉をはじめ杉の生産量が30年連続で日本一を誇る宮崎県に地盤を置き、主に国産材を工務店などに販売する同社。ベイマツなどの輸入木材の価格の高騰や入荷遅延により、全国から国産材の引き合いが相次いでいる。「『宮崎なら杉がいっぱいあるだろ』と、何年もお会いしていない業者から引き合いの声をいただきましたが、お断りせざるをえない状況が続いています」と川上社長は話す。
輸入材の煽りを受けて国産杉も高騰。一立米あたりの販売価格は2020年末時は6万8000円だったのが、現在は11万5000円と倍近くになっている。それでも、需要に応えきれない状況だ。「国産材に注目が集まり木材自給率は40%ほどになりましたが、サプライチェーンには問題がある」と川上社長は説く。
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