個人のスキルやノウハウに頼りすぎて、そのスタッフが退職すると業績や効率が低下する会社も少なくない。コスモスイニシア(東京都港区)は、昨年から「ワーク・スタイル・イノベーション」と命名した働き方改革を開始。「属人的なスキルに頼らないマニュアルづくり」の研修現場を取材した。
マニュアルをつくるため、各自の仕事のやり方を共有
属人的スキルに頼るリスク
「チェック表にこの項目があったほうがいいよね」「私は、要らないと思っていた」「技量に差があって、マニュアル化できない」
昨年暮れ、本社7階の会議室に、賃貸事業部のスタッフ約50人が集まった。同社は、業務効率化のコンサル事業を行うベーシック(東京都千代田区)の主導で、10月から取り組みを開始した。
同事業部の塩見良二部長は、「賃貸業務は、募集、管理、退去後の現状回復など、業務内容が多岐にわたる。従来は作業ごとに熟練したスタッフが対応するケースが多かったが、属人的なスキルに頼っていくままでは難しいと感じた」
スタッフの半数以上は女性。結婚や出産、親の介護などの事情によるスタッフの退職・休職に伴い、仕事の効率が著しく低下するということが多々あった。
たとえば、部屋の鍵交換業務に熟練したスタッフが、夫の仕事の都合で北海道に転居。別のスタッフが業務を引き継いだが、物件ごとにメーカーが違う、納品に大幅に時間がかかる商品があるなど、元のスタッフの頭の中にしか「マニュアル」がないという例もあった。

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