住宅技術評論家、南雄三氏が「R2000プラス改修レポート 世界基準の復活」で連載中のリフォーム物件が上野住宅建材(新潟県見附市・上野美代子社長)の「R2000+(プラス)」だ。改修事例の全体概要は南雄三氏の連載に任せるとして、今回は日本では珍しい海外商品を多用したサッシのリフォームにスポットを当てる。
▲太陽光発電は雪国、新潟の気候に配慮して壁面にも設置。
高性能モデルハウスを断熱改修
「R2000」とは、23年前に先代の上野貞男社長が取り組んだカナダ基準の高性能住宅だ。モデルハウスとして本社横にしばらく放置されていたこの建物を昨年、南雄三氏を総監督に迎えて改修プロジェクトがスタートした。構造は枠組み壁工法、2階建て。基礎は布基礎。建築面積は102.72㎡。延べ床面積は159.27㎡。今回の改修で注目したいのは、超高性能の海外サッシ・窓を5種類も取り付けた点だ。
上野住宅建材は、アメリカの窓メーカー・アンダーセンの輸入代理店としても有名。そのアンダーセン製の窓も含めて当欄では5か国の商品を紹介する。
今回採用した木製サッシは日本ではまだ取り扱いがない商品もあるため、日本での販売価格は未定だ。
R2000改修プロジェクト概要
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◆断熱仕様
- 壁 : 改修前=グラスウール89mm
- 改修後=グラスウール89mm(既存)+ウッドファイバー140mm
- 屋根天井 : 改修前=グラスウール吹き込み235mm
- 改修後=グラスウール吹き込み235mm(既存)
- 床下 : 改修前=グラスウール吹き込み235mm
- 改修後=グラスウール吹き込み235mm(既存)
◆換気システム
顕熱交換効率85%、潜熱交換効率77%
◆ルームエアコン
1階2台、2階1台
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1)アンダーセン(アメリカ)
[スペック]内側:木製(樹種:ポンテローザパイン)、外側:アルミ、ガラス:ペアガラスLOW-Eアルゴンガス入り。U値:1.59w/㎡・K
「トリプルではなく、ペアガラスを使用しています。リビングの窓に使用したのはフォールディングドアです。ヨーロッパの窓とアンダーセンの窓と異なるのは"内開き"ではなく"外開き"である点です」(上野社長)
2)川上製作所(新潟県村上市)
[スペック]内側:木製(樹種:ニヤトー)、外側:木製(樹種:ニヤトー)、ガラス:三層LOW-Eアルゴンガス入り、U値:1.6w/㎡・K
新潟県村上市で『JOY WOOD』のブランドで展開する木製サッシメーカーに依頼した。
3)クネアズード(ドイツ)
[スペック]内側:木製(樹種:レッドパイン)、外側:アルミ、ガラス:三層LOW-Eアルゴンガス入り、U値:0.8w/㎡・K
4)クヴィルフォシュ(スウェーデン)
[スペック]内側:木製(樹種:レッドパイン)、外側:アルミ、ガラス:2+1 LOW-Eアルゴンガス入り、U値:0.9w/㎡・K
5)フンケラー(スイス)
[スペック]内側:木製(樹種:トウヒ)、外側:アルミ、ガラス:三層LOW-Eクリプトンガス入り、U値:0.5w/㎡・K
「フンケラーは当社で取扱はなかったのですが、以前、スイスに視察に行ったときに、その美しさにひかれ、現地の日本人の方を通じて輸入しました」(同氏)
今後は、これらのサッシの性能比較しながら販売を検討していくという。

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