ビジネスの基本に、LTV(ライフタイムバリュー)=顧客生涯価値を高めることがある。そのためにOB客を定期的に訪問し、何度もリピートしてもらえるような関係づくりを目指す会社は多い。一方、「アフターフォローが大事なのはわかるが、忙しい、利益にならない」といった声が根強いことも確かだ。生産性を上げるための工夫とは。各社の取り組みを紹介する。
特集:生産性を高めるOBフォロー術
問い合わせ件数、660件に倍増
北海道東部にある北見市で、毎日ひっきりなしに引き合いの声がかかる小さなリフォーム店がある。従業員は社長を入れて3人、パート3人で2億円を売り上げるスマートプロジェクトだ。過去1年間での問い合わせ件数は660件。その前は300件ほどだったので倍以上の数字だ。
同社のビジネスは次のような形だ。まずは「365日住まいの修理」の広告を毎月1度、町内のフリーペーパーに掲載。そこには例えば、蛇口の水漏れ修理や交換、パイプのつまりなど、緊急性の高い案件を数多く掲載し、単価3000円ほどのあらゆる注文に応える。「地元に修理を行っている会社が少ないことに目をつけました。どこに頼んだら良いかわからない、というお客さんが、フリーペーパーを取っておいてくれて、いざというときに声をかけてくれます」と、諏江春樹社長は話す。
この修理を入口にOB客の数は年々膨れ上がり、現在は2200世帯に。10年で10倍ほどの数字だ。OB客には定期的にハガキを送ったり、年に一回は挨拶するなどして関係を構築し、次の受注へとつなげる。最も多い注文は水回りリフォームだ。「水漏れの修理のみなら単価にして1万円以下ですが、会話するうちに『せっかくの機会だから最新のものに変えようか』となり100万円から500万円ほどの売り上げになるケースも多い」と諏江社長は打ち明ける。

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