"超お得意様"会員組織で顧客囲い込み

　キリン住宅（千葉県習志野市）は超お得意様を集めた有料OB会員組織「ファミリークラブ」を発足させた。顧客向けのサービスを拡充することで、「キリン住宅」をブランド化し、価格競争に巻き込まれない体制作りをすることが狙いだ。

　「ファミリークラブ」は約1万件いる同社のOB顧客の中でも累計10回以上リピート工事をし、合計の工事額が１０００万円を超える超お得意様だけを集め作られた。全体の会員数は15件。住まいのことで何かあったら「キリン住宅に頼む」が当たり前となっている顧客たちだ。

　設立理由を久永誠社長は次のように話す。

　「地域密着の町の電気屋さんの活動をヒントに作ったのですが、顧客囲い込みの方策の１つです。入っている方は会を発足しなくても、うちに頼んでいただけるお客様なのですが、高齢になってくると棚の荷物が取れないなど生活の中で困り事がでてきます。だから、会員の方には無料で荷物移動などを提供することで、サービスの質を高めていく考えです」

　会費は年間５０００円。会員には無料でパッキン交換、電球交換、網戸の張り替え工事といったサービスを提供するほか、商品代金の５％オフ、通常の２割引での配管の詰まり解消といったさまざまな特典がある。当然、組織としては赤字だが、価格ではない価値の訴求を第一目的としているため、会員を厳選して続けていく方針だ。

　同社の前期売り上げは５億３０００万円。最近は売り上げよりも利益を重視する経営体制を強化しており、昨年から粗利を1.5％改善することに成功している。