ニッカホーム(愛知県名古屋市)の勢いが止まらない。2011年12月期に100億円突破後も売り上げを順調に伸ばし、12年12月期は143億円を記録。今期はさらに出店攻勢をかけ、前年度比27%増となる182億円を目指す。同社の成長の原動力を分析した。
飛び地出店で急成長
ニッカホームの売り上げ推移を見るとその好調ぶりが明らかとなる。2008年度55億円だった売り上げは09年度69億、10年度86億、11年度109億円、12年度143億円といずれも20%以上の伸びを示した。順調な伸びの背景にあるのは、主要都市への多店舗出店だ。2005年に東海エリアを初めて飛び出し福岡に出店後、07年に横浜、08年に大阪と相次いで飛び地出店を果たした。
拠点数の推移(ニッカホームブランド店のみ)
今年に入ってから現52店舗(ニッカホームブランド)のうち、本社のある中部エリア以外の店舗が半数を超え、売り上げの主軸に移りつつある。特に重点エリアの関東は4月以降、町田店、横浜南店、調布店、杉並店と次々に出店。東京都と神奈川県で13店舗体制となった。また、9月末には埼玉県所沢市に上陸する。では、成長を続けるニッカホームとは、いったいどのような会社なのだろうか。
安さと施工品質を両立
創業時期は26年前の1987年。施工は外注するのが一般的な中、社員職人による工事にこだわり、全体工事の4割は自社施工となる。この自社職人による安心できる工事品質と、価格の安さ、この2つを両立している点が最大のウリだ。
ただ、安さと工事品質だけでは、今の成功を築くことは難しい。店長や地域の責任者を任せられる優秀な人材を早期育成できているところが、同社の成長のカギとなっている。現社長の西田裕久氏も2007年、32歳のときに代表取締役に就任しており、優秀と思える人材にはどんどん重要な役職に就かせるのが同社のやり方だ。採用から店長職に付く平均年数は約3年となっている。
どのように店長に育てるかというと、特別な育成マニュアルのようなものは存在しない。一般のリフォーム会社がよく行う方式と同じく、先輩社員に習い、OJTで仕事を覚えていく形だ。そこで大事にしているのは社員の自主性。各店長に年間予算を立てさせていることからもわかるように社内の風土として、自ら考え、意欲的に仕事をする姿勢が構築されており、仕事ができる人にはすぐさまポストが用意される。その循環が同社の成長の基盤となる。
さらに、昨年の6月からは分社化制度をスタート。各都道府県ごとに、会社を分けることで、独自性を出すことと、より大きなポストをつくることが狙いだ。既に福岡と名古屋市内の店舗、さらに別ブランド名で展開していたマニカホームを、分社化し、3名の代表者が生まれている。
拠点の拡充を継続
今後の方向性は、さらなる拠点の拡充だ。西田社長は出店場所として「30万都市であれば可能性がある」としている。例えば、関西は大阪にしか店舗を構えていない上、北陸、東北、北海道は未出店エリアだ。同社の動向に注目が集まる。
≪会社概要≫ 社員数: 560人 / 営業社員: 390人 / 拠点数: 45ヶ所 / 1店舗あたりの売り上げ: 約3億円 / 1店舗あたりの商圏:15~20万世帯 / 集客方法: ほぼチラシ

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