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世界最高水準のリフォームハウス完成大和屋

世界最高水準のリフォームハウス完成 大和屋

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日本トップクラスの夏の暑さを誇る埼玉県熊谷市で、家中の冷房をエアコン1つで賄えるリフォームモデルハウスが話題を呼んでいる。手掛けたのは建材販売業を営む大和屋(熊谷市)。世界最高水準の省エネ基準であるドイツのパッシブハウスのリフォーム基準を上回る住宅性能を保持しており、認定が取れると、北海道に次いで本州第1号物件となる見込みだ。

初月は180組が来場
初月は180組が来場

3600万円かけ改修

 「森の家」と名付けられたリフォームモデルハウスは、今年の5月20日に完成した。元々、15年前に作られたモデルハウスを3600万円の費用をかけ改修。目指したのは世界最高水準の住宅性能だ。

 「15年前に新築住宅事業を開始した際、時代の先端を行く建物を作ろうと、Q値2.53、C値0.7と現在の次世代省エネ基準を上回る性能のモデルハウスをつくりました。そして、15年前と同じスタンスで、新しい建物づくりに取り組みました」(黒田泰治建材部部長)

 物件完成後、従来は月に30~40名ほどだった来場客が、初月に約180組となった。また、来場客の滞在時間が大きく伸び、人によっては11時のオープンから閉店の17時まで、1日中過ごす人もいる。黒田部長はその理由を「室内の快適性が高まったからでしょう」と話す。

窓、外壁・基礎、換気を強化

 今回の改修では、

  1. 外壁・基礎まわり
  2. 換気   の3点の性能向上に力を入れた。理由は、どの部位の熱損失率が高いかの測定をしたところ、この3つの部位で全体の約8割という高い数字が出たためだ。

 窓にはヴァリオテック社のアルゴンガス入り、LOW-Eトリプル木製サッシを採用。熱の伝わりやすさを表すU値が0・73と世界レベルの数値となる。ちなみにこの数値は値が小さい方が高性能であり、日本のトップクラス性能のサッシでU値は1.1~1.3程度となる。

採用したトリプルサッシの断面図
採用したトリプルサッシの断面図

 また、壁は木質繊維断熱材を240㎜の厚みで入れた(東面を除く)。同断熱材は湿気を通すことが特徴で、壁内結露防止が発生しにくい利点がある。基礎も断熱材で覆い、家まわり全体で熱の出入りをシャットアウトした。

 さらに、換気にはオランダ、ブリンク社の熱交換タイプの換気システムを導入。95%の熱交換率を実現する代物だ。

 「実際の超高性能の住宅への改修をして実感したのですが、ここまでするリフォームは大変ですし、ニーズはほとんどないと思います。今後はこの建物の一部を採用してもらうような提案をしていく考えです」(同部長)

外付けのロールスクリーンも

 同物件には窓、外壁・基礎、換気のほかにも、外付けブラインド、外付けロールスクリーンといった商品も取り付けられている。例えば外付けブラインドは日射の8〜9割を防げるため、3割ほどしか防げない室内ブラインドより効果が高い。いかに効率よく、予算内で断熱化ができるかを、リフォーム、新築ともに実物を見てもらいながら提案する方針だ。

 同社の売り上げは約20億円。主業務は建材販売事業で、輸入木材のほか、モデルハウスに採用した、サッシ、ブラインドなどのプロ向け販売も行う。

≪物件概要≫

  • 立地 埼玉県熊谷市
  • 改修費用 3600万円
  • 基本仕様 断熱材(木質繊維断熱材、厚み・壁屋根とも240mm~)、サッシ(ヴァリオテック社、木製トリプルサッシ)、換気システム(ブリンク社、第一種、熱交換換気システム)
  • 広さ 敷地面積:632.20㎡
  • 1階床面積:88.00(26.57坪)
  • 2階床面積:66.93(20.20坪)
  • 延べ床面積:154.93(46.77坪)
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