料理のレシピのように、優れたリノベーション事例から空間演出のノウハウ、さらに使用されている建材・建具・インテリアまですべてを紹介する企画を今号からスタートする。第1回目に取り上げるのは、リビングライフ(東京都大田区)が手掛ける、ターゲットを絞り込んだユニークなコンセプトの中古再販プロジェクト「トーキョー・コンサマトリー」だ。
紹介するのは、「トーキョー・コンサマトリー」第3弾である「ククルス戸越」。ターゲットは都会で働く30代のディンスク。物件名の「ククルス」とは英語で鳥のカッコウのことで、アーバンな暮らしを想像させる高級感を持たせつつ、カッコウの巣のように落ち着ける場所を目指した。
設計者のスタジオA設計事務所の内山章氏は、「使われている建材が、どのメーカーの製品か分からないように塗装、特注加工をする」と、リノベーションのこだわりを語る。同物件でも、ありきたりの素材も特別なものに、ユニークなアイテムはより個性を強調されて見えるような使い方がされている。
【wall】合板にアクリル塗料
使われている合板、アクリル塗料も極々一般的なもの。その貼り方、色合いには強いこだわりがある。合板は板同士に隙間を作る「目透かし張り」。色は現場で何度も試行錯誤を繰り返し、マットな薄いブルーに仕上げた。その結果、コンセプトである「鳥の巣」の木の温もりと、都会的な色調の同居に成功している。
【Light】ペンダントライト/IKEA
照明はあえて手近で入手できるIKEAで購入。強くは主張しないが、空間のアクセントになるようなデザインのものが選ばれている。また廊下の壁などに取り付けられているブラケットライトは、実は住宅用ではなく船舶向けの商品。内山氏のお気に入りアイテムの1つだ。
【TV board】モザイクタイル/杉浦製陶
テレビボードは造作で、タイルを使って仕上げた。選んだのは杉浦製陶(岐阜県多治見市)の、ブルーのモザイクタイル。艶の強いものをチョイスし、壁の薄い青色とのコントラストを強調している。これ以外にも、キッチンの壁やトイレの床などには平田タイル(大阪府大阪市)のものが使われている。
【Flooring】ワイルドシリーズ/ボード
フローリング「ワイルドシリーズ」は、使い込んだようなくすんだ色合いと木目を強調した浮造り加工が特徴。色合い、具合は特注で調整した。「ボードは小ロットでも細かい特注に対応してくれるので重宝する」と内山氏は話す。また空間の広がりが感じられるように、斜め張りにしている。
≪物件情報≫
- 物件名:戸越ハイツ
- サイズ:53.48平米
- 立地:東急池上線「戸越銀座」駅、徒歩5分
- 販売価格:2380万円
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