マンションの共用部修繕の際、入居者全員で話し合い、納得しながら進められる。そんなユーザー目線の大規模修繕のコンサルタントサービスが人気を呼んでいる。提供しているのは、NPO都市住宅とまちづくり研究会(東京都千代田区)だ。
同会では「建物の長期維持」と「コミュニティの形成」を目的に活動。マンションの大規模修繕のコンサルタントとして、長い時間をかけて入居者全員が納得できるように修繕を進めている。
中でもユニークなのが、希望すれば入居者全員が参加できる「みんなで建物診断」という取り組みだ。これは業者とともにマンションの劣化業況を入居者が確認するもの。
自分の目でマンションの状態を改めて知ることで、本当に必要な修繕を選ぶことができる。市野惠司理事は「このような取り組みを通して、入居者の当事者意識を育てています」と話す。
一般的な大規模修繕が1年以内に完了するのに対して、同社では修繕委員会の立ち上げから工事完了まで1年半から2年という長い時間をかけている。
「時間がかかっても、自分たちが主導で修繕を行いたいという入居者は少なくありません。特に『不必要な工事をしているのではないか』とか『修繕にかかる費用は適正なのか』など、これまでの管理会社主体の大規模修繕に疑問を持ったユーザーに支持されています」(市野理事)
同会が大規模修繕を手掛けたマンションでは、管理規則の見直しや防災マニュアルを改めて自分たちで作ろうという主体的な活動につながるケースも多い。
同会は建設会社OBなど10名ほどで構成されており、年間2件ほどの大規模修繕を手掛けている。またこれ以外にもシェアハウスの企画などを行う。

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