コロナによる買い控えや工期の延期、木材原価の高騰、人口減少問題など、新築ビジネスの立ち位置は決して明るくはない。既報の通り、帝国データバンクや東京商工リサーチの調査によれば、建設業のコロナ倒産の多くが、新築を手掛ける中小零細工務店だった。こうした逆境のなかで、リフォーム業に乗り出すことが、会社の永続させていくひとつの答えになるかもしれない。この連載では、工務店ならではの設計力や技術力を駆使し、いかにリフォーム事業を拡大するか、課題も含め、現場のリアルな声をお届けしていく。
【リポート/編集部 芦原拓】
工務店のリアルな声 VOL.2
ウッドショックで「リフォームの大切さ痛感」
造作家具や梁の補強で工務店らしさ発揮
アゴのついた「番匠金物」をリフォームでも使用
「リフォームの大事さが身に染みました」と話すのは、中野工務店(千葉県市川市・年商9億円)の中野光郎社長だ。同社は3000万円超の新築を年25棟ほど手がけるが、昨年は木材原価の高騰や流通の停滞など、いわゆるウッドショックに頭を悩ませていた。
「間柱用のホワイトウッドの集成材が一気に値上がりしたのでベイマツに切り替えましたが、入荷が遅れる状況でした。うちと材木屋とお客さんで三方痛み分けにしようか、と悩みました」と中野社長は振り返る。実際は工期を延ばすなどして対応したが、空きができた分、リフォーム業の強化は必至だった。「一時は半年ほど上棟できないという状況があり、リフォーム専門に転換しないと社員を食べさせていけない、と危機感を覚えました」
そこで同社では新築をメインにしながら、リフォームを効率よく受注するため目安を1500万円以下に設定。水回り住設の交換やクロスの張り替え、畳間の床を無垢のフローリングにするなどの工事を受注し、前期は7000万円ほどを売り上げた。

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