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強まる流れ、流通業者が消費者に直販~リフォーム先進国アメリカを訪ねる(5)~

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強まる流れ、流通業者が消費者に直販 ~リフォーム先進国アメリカを訪ねる(5)~

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 米国の巨大マーケット・リフォーム市場は、そのバックで激しい競合を繰り広げる流通業者や施工業者に支えられている。だが、どんな業界でも競合のあるところでは市場を一変させるような変化が生じるのが常だ。水まわり商品を扱う管材設備流通業では、消費者向けの販売にその新たな傾向がハッキリと表れている。

米国に多いディーラーショールーム
米国に多いディーラーショールーム
―――取材・文 本紙社長:加覧光次郎

9州に70支店を持つ流通業者のショールーム

 「ここはオシャレなインテリアショップだろうか」。店内に一歩足を踏み入れた瞬間、思わずそう感じさせられた。洗面、バスタブ、シャワー、それに実に様々なデザインの水栓金具などが所狭しと展示されており、リフォームユーザーでもないのにワクワクさせられたほどだ。実はこの店、大手流通業者ケラー・サプライがオープンしたショールームだ。

大手流通業者ケラー・サプライのショールームはおしゃれなインテリアショップのような雰囲気
大手流通業者ケラー・サプライのショールームはおしゃれなインテリアショップのような雰囲気

 同社は1945年に設立された会社で、9州に70支店を構える。米国西部では最大手で、オーナー系独立企業としては全米でもトップの規模を持つ。アメリカのマーケットでは、水まわり機器の世界的メーカーであるコーラー社の有力代理店としても知られている。ショップマネジャーの女性が説明してくれた。「私たちは卸売業者なので、一般のユーザーに積極的なPRはしていませんが、お客さんの水道業者さんが来店を促して一緒に来られたりします。コーラー社のホームページなどを見て来る方もいらっしゃいますね」

プロが引率エンドユーザーも来店

 欧米ではこうした「ディーラーショールーム」と呼ばれる流通業者のショールームは一般的だ。だが、最近は、以前なら「プロのみ、エンドユーザーお断り」だったこうした店に、消費者が来店するケースも珍しくなくなっている。

 前回も紹介した流通業者、コンソリデーテッド・サプライ社のショールームはさらに消費者志向が強く、平日だけでなく土曜日もオープンしている。駐車場もたっぷりあり、入り口付近はディスプレーにこだわり、主婦などのエンドユーザーでも入りやすい作りになっている。店内には商品展示だけでなく、シャワーの浴び心地を体験できるコーナーなどもある。

流通業者コンソリデーテッド・サプライ社が開設した、消費者対応型ショールームは、主婦なども入りやすいように作られている1
流通業者コンソリデーテッド・サプライ社が開設した、消費者対応型ショールームは、主婦なども入りやすいように作られている2
流通業者コンソリデーテッド・サプライ社が開設した、消費者対応型ショールームは、主婦なども入りやすいように作られている
エンドユーザーも来店しやすいように、土曜日もオープンしている
エンドユーザーも来店しやすいように、土曜日もオープンしている
シャワーの浴び心地を実際に体験できるコーナーも設けられている
シャワーの浴び心地を実際に体験できるコーナーも設けられている

 ショップ責任者が案内してくれた。「この店は当社の3カ所あるショールームより少し小さめで350平米ぐらいの広さですが、来店されたお客さんがいろいろ質問したりするにはちょうどいいサイズかもしれませんね。1日の来店は大体、そうですね、25~30組ぐらいです」

インテリアとしてイメージしやすく展示
インテリアとしてイメージしやすく展示

 さすがに展示商品に価格表示まではしていないが、たいていの場合はリフォーム業者やデザイナーがユーザーを案内して連れて来るので、業者経由で価格を説明してもらうという。

商品展示のレイアウトやライトアップがしゃれている
商品展示のレイアウトやライトアップがしゃれている

変わる来店パターン施主だけ 卸値で直販も

 ただ、近頃ではDIYユーザーなども増えてきたため、直接販売することも多くなっているそうだ。その場合は直接エンドに、場合によっては卸値で売る場合もあるという。

 日本でもいわゆる"施主支給"が一部で行われているが、どこから仕入れたのか分からない商品で施工するのは施工業者にとってはリスクだ。しかし、通常、取引している問屋が売るのであればそうした心配はない。

 ショップ責任者が話す。「プロ業者の方々も従来のように施主さんに付き添って来店するパターンをそろそろ変えていきたいと思っているようです。施主さんには自分で欲しいものを自由に選んでもらえばいいし、業者さんにしてもむしろ手間も省けていいからです」

 ディーラーショールームというインフラがあればこそのこととも言えるが、米国流通業者のユーザー直販の流れは今やトレンドだ。

―――続く。
 ≪連載1回≫ 市場規模40兆円の巨大産業最新事情 ~リフォーム先進国アメリカを訪ねる(1)~
≪連載2回≫ 同業社をM&A米国でも稀な手法で成長 ~リフォーム先進国アメリカを訪ねる(2)~
 ≪連載3回≫ 断熱改修5年で20倍。会社の3割を稼ぐ ~リフォーム先進国アメリカを訪ねる(3)~
 ≪連載4回≫ 巨大市場を支える全米1万超の流通業者者 ~リフォーム先進国アメリカを訪ねる(4)~
≪連載最終回≫ 消費者ニーズに対応、「卸売」と「小売」の垣根なし ~リフォーム先進国アメリカを訪ねる(最終回)~
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