年間6棟前後の新築住宅を供給するモノリス秀建(東京都荒川区)は3年ほど前から、営業エリアの縮小と独自の見積もり作成表により、利益率を高める活動に力を入れている。現在のリフォーム売り上げは2億5000万円で、100万円以下の工事は35%以上の粗利が確保できている。
「リフォームは従来、車で30分以内のエリアで対応していましたが、歩いて15分圏内に変えました」と3年前に代表取締役社長に就任した渡辺猛氏は話す。
同社では代替わりを契機に営業方針を一新し、「利益の確保」を重点テーマとして戦略を進めている。その実行プランの1つとして行っているのが、リフォームの営業エリアを可能な限り狭めることだ。
「エリアを狭めたことで、現場監督が複数の現場を回れますし、職人も効率よく動けます」(渡辺社長)
受注獲得法としては約1年前から、専任の女性スタッフによるOB客訪問と近隣住居へのポスティングを2ヵ月に一度行っている。地域を回る際には、1回に4500部印刷する自社ニュースレター「モノリス通信」と、加盟するLIXILの住まいプロホームウェルの小冊子を配る。
また、3年前に落成した本社1階は1回500円で地域の人々が自由に利用できる空間とした。住民に利用してもらうことで、会社の知名度を高めるためだ。現在ではパソコン教室やサッカー教室の作戦会議、作家の個展など、空きがなく予約が埋まるほど人気を集めている。
これらの活動の結果、従来はOB客しか来なかった年に2回行うメーカーショールームバスツアーの参加者が、ほぼ新規客となるなどの顧客開拓につながっている。渡辺社長は「将来的には営業エリアの3割を開拓したい」と話す。
この地域密着戦略に加えて、同社では独自の見積もり作成表を作り、100万円までの工事は粗利35%、100万~500万円の工事は粗利33%と、受注金額別の計算式に工事費等を入れ込むと利益が確保できる仕組みを構築した。
「地域戦略でコストを削減できたこともあり、現在は3年前と比べて会社全体の粗利率が約10%高まりました」(渡辺社長)

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