2023年有力企業インタビュー
外装、給湯、解体ショップまで登場
大手リフォーム事業者のインタビューから見えた、2023年のトレンドキーワードは5つだ。(1)専門店への業態転換、(2)中古住宅仲介市場参入、(3)生産性向上、(4)職人育成、(5)1棟リノベーション。
リフォーム業界では「(1)専門店への業態転換」が相次いでいる。2面で取り上げたニッカホームグループ(愛知県名古屋市)では現在「給湯器」専門店が好調。この業態だけで年30億円も売り上げる。
昨年本紙では「外装」「瓦」「キッチン」「トイレ」などの専門店を取り上げてきた。ニッカホームグループの榎戸欽治会長は2023年は建物解体の専門店を強化するとし、「今後さらに多様な業態が出てくる」と予測。今年もさまざまな専門店が登場しそうだ。
働き方改革が浸透
リフォーム事業者の間では「(2)中古住宅仲介市場参入」が相次いでいる。ニッカホームグループもそうだが3面で報じたオノヤ(福島県須賀川市)も参入。中古物件を仲介し、リフォームも合わせて提案する「365リノベ」事業が好調だ。仲介契約が取れれば、大型改修にもつながりやすい。改修事業拡大の起爆剤となりやすいことが参入増加の要因だ。物価が高騰するなか、手頃な中古住宅に注目が集まっている。リフォーム業の枠を超え、不動産に参入する業者が増えそうだ。
「(3)生産性向上」は近年重要なトピックだ。2020年4月に中小企業の時間外労働の上限規制が始まって以来、短い時間でいかに大きな売り上げや利益を生み出すかが問われてきた。4面で報じたホームテック(東京都多摩市)では、休日数を増やし、働き方改革を進める一方で、粗利益を確保するためのノウハウといった教育を再徹底。決められた労働時間でいかに高い価値を生み出せるか、生産性向上に取り組む。
施工の「内製化」進む
「(4)職人育成」は住宅業界全体の大きな課題だ。職人が高齢化し、若者が入職してこない。改修工事を受注しても任せる職人がおらず、着工が後ろ倒しになる事態が増えつつある。5面で報じたハウジング重兵衛(千葉県成田市)では、自社で職人を育成するだけでなく、職人学校を立ち上げる。学校まで立ち上げるケースは異例だが、若い人材を雇用して一から職人を育成する企業は増えている。施工の内製化が本格化しそうだ。
集客力が落ちた老朽ビルや古いマンションが増えるなかで「(5)1棟リノベーション」に取り組む企業も増えつつある。6面で紹介したエコラ(宮城県仙台市)は、このような物件を1棟再生し、住まい、店舗、ホテル、オフィスなどへと生まれ変わらせている。このような再生プロジェクトは全国的に増えており、増える空き家・空きビルの再生事例は今年も増加しそうだ。

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