「リフォームの潜在ニーズをどのように掘り起こすか」。業界の最大テーマであり、実現できている企業は少数に限られる。ところが、さまざまな業種に目を向けると、需要の掘り起こしに成功している企業は無数に存在し、急成長を遂げているところも多い。テーマごとに"異業種企業"と"リフォーム会社"の2社を紹介する。
【テーマ2】 意欲向上
≪リフォーム会社≫ マルハウジングサービス
わずか営業スタッフ4名ながら、700件もの顧客を独自の訪問システムで囲い込み、年間工事件数6割強をOB客から受注している企業がある。マルハウジングサービス(東京都江東区、丸山博文代表)がそうだ。同社は年2回定期点検でOB客を訪問しており、そこで新たなリフォームの需要を喚起している。
同社の訪問システムはこうだ。
- 1月と8月の年2回、3日間ずつ訪問。
- 2名一組6チームで各エリアを重点訪問。
- 訪問日の10〜14日前に訪問予定日の告知と、自主点検シート(図)、相談シートを送付。
- 訪問時に、生活の不便な点などをヒアリング、自主点検シートの回収。
- 訪問の際、顧客の近隣10件程度にチラシを配布 ―――等だ。
「当社が果たす工事への責任をPRするとともに、お客様の潜在的なリフォーム需要を引き出すことが狙いです」と話すのは大塚満マネージャー。その際効果を発揮しているのが、自主点検シートだ。「お客様が普段見落としていることを見つめ直していただくことで、今まで気にしなかった生活の不具合を発見していただくんです」(同氏)実際、書き込んでもらったものを回収することも多い。1回の定期点検で60件近くの相談が集まり、その半数が受注につながっている。
事前に送付する自主点検シートが効果を訪問高める
「真っ先にお声のかかる企業に」
この訪問の狙いは、営業エリア内の認知度の向上だ。訪問する2名のうち1名がOB顧客をフォローし、もう1名がチラシを近隣に配布し、周辺の需要の掘り起こしを行う。同社の認知度をOB客から周りに広げていく作戦だ。
「なにか生活にお困りごとがあれば真っ先にお声のかかる企業になれれば」と大塚マネージャーは話す。顧客の囲い込みにも成功しており、相見積もりはほとんど発生していないという。
≪異業種≫ まくら株式会社
「枕は、どれが自分に合うかわからないので試してから買いたい」―――。そんな消費者の希望をレンタルサービスで叶え、枕の販売を伸ばす企業がある。枕を中心に寝具を販売する、まくら株式会社(千葉県柏市)は、今期、前期比125%の年商約7億円を見込む企業だ。同社はレンタルで顧客に商品を試してもらい、自身に合う枕を訴求している。
レンタル希望者が集中し、一時サービスの停止も余儀なくされるほどの反響ぶりだ。
▲約800種類の枕、3万5000点のアイテムをオンラインで販売する
安眠の前に安心を売る「枕のレンタルサービス」
「寝慣れた布団で落ち着いてゆっくり寝てみて初めて合う枕がわかる」が持論の河元智行社長。「安眠の前に安心を売る」が同社のモットーだ。レンタルサービスは、商品を自宅で気軽に試してもらうことで、購入後の失敗を避け、返品率を下げることが狙いだ。これまで、同社は「購入後20日以内であれば無条件で返品可能」としてきた。昨年までの返品率は約2%だが、レンタル開始後は1%未満まで改善した。レンタル可能な商品数は50種類600個。販売価格で4000円~2万円の商品を1度に3種類まで、10日間1000円でレンタルできる。1人当たり2、3個利用し、常時200人が利用している。
枕カバーのリピート案内も同社の特徴だ。顧客にメールマガジンで枕カバーを案内し、顧客を囲い込むのが狙い。枕の買い替え期間が一般的に3年に対して、枕カバーは早ければ半年、と周期が短く、リピートにはうってつけのアイテムだ。
メルマガでは購入者の枕サイズに合わせた枕カバーを案内している。一般的に、自分の買った枕のサイズを把握している人は少ないため、カバー交換に結びつきにくい。しかし、同社では購入者の枕データを管理しているため、合う枕カバーの案内をすることで顧客の交換意欲の掘り起こしにつながっている。

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