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"木のリノベ"追求、1000万円超の依頼増

"木のリノベ"追求、1000万円超の依頼増

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"木のマンションリノベーション"をコンセプトとしたリフォームを推進するマスタープラン一級建築士事務所(兵庫県西宮市)。同社の平均工事単価は1200万~1300万円と高額な受注に成功している。コンクリート造のマンションに、積極的に木を取り入れるプランが人気で、年々受注件数が伸びてきている。

快適さを実現

 「鉄筋コンクリートのマンションにこそ木を使ったリノベーションを」。こう話すのは小谷和也社長。同社のこだわりは国産の無垢杉を使った"木のリノベーション"。マンション専有部を一度スケルトンにし、そのコンクリートの"箱"を自然味溢れる空間へと変える技術が売りだ。受注単価は1000万円オーバーが当たり前。年間12〜15件ほど受注に至っている。

室内は自然素材をふんだんに活用。壁には珪藻土を利用。建具もオリジナルで作る。キッチンの面材にも木材を利用する。
室内は自然素材をふんだんに活用。壁には珪藻土を利用。建具もオリジナルで作る。キッチンの面材にも木材を利用する。

 同社のプランで最もこだわるのが部屋の快適性だ。その快適性を実現するために、リノベーションに使う建材を厳選し、さらに窓と壁面の断熱改修を行う。

独自の杉フローリング

 特にユニークなのは床材選び。同社では奈良県・吉野にある丸岡材木店と共同開発した杉フローリングしか使わない。この杉材の厚みと幅は一般普及品に比べて倍以上。具体的には厚さが30ミリ、幅は215ミリ(画像参照)。

最も下の厚く幅広の床が同社の使用する材料
最も下の厚く幅広の床が同社の使用する材料

 厚い杉を使うわけは合板や他の無垢材に比べて温かみがあるからだという。「薄いものに比べて冬に温かさを感じられ、踏み心地もやわらかくなる。さらに遮音性も高い」。冬場を快適に過ごすためにも、杉の持つ温かさが重要だという。

 「一般的な新築のマンションに使われている合板フローリングは無垢の杉床に比べて冷たい。また、新築の窓は2重窓化されていないケースが多い。合板は冬場の冷気によってさらに冷たくなる。そんな状況で床暖房が入っていておかしいなと。断熱をきちんとして、杉をはれば部屋が寒いという悩みはほとんど解決してしまうんです」。同じ針葉樹であるヒノキは杉に比べてやや冷たいという。施工したお客さんからは「杉床の温かさは畳に近い」と言われ、評判が良い。

 ただし、一般的に無垢杉は傷つきやすく、汚れやすく、また反りもある。同社の使う杉材は厚みがあるので反りが抑えられ、汚れた場合には表面を削ってメンテしやすく、ユーザーの不安も軽減できるという。

 さらにこの杉材の寸法は普及品の半分程度の1.82mサイズ。これはマンションの現場搬入の際にエレベーターに載せられるサイズを意識して加工されている。

 資料請求したユーザーには資料のみならず、杉板も一緒に送る。今住んでいる床材と温かみや香りなどが違うことを体感してもらうためだ。

断熱化で結露対策

 快適、健康な暮らしを実現するために断熱化にもこだわる。同社では樹脂製の2重窓化が標準。壁については、無断熱や薄い断熱材の場合に改修する。小谷社長はマンションの断熱についてこう考える。「マンションは戸建てに比べると断熱性能が高い。しかし、最上階は夏場、めちゃくちゃ暑い。コンクリが蓄熱するためです。冷房しても熱いまま。1階は地面の冷気が伝わってきて寒い。さらにマンションは気密性が高いので冬場に結露がおきやすい。これはカビの原因になりますので内窓をつける」

 間取りは自由。部屋数を減らし、1室を広く取る大空間のリビングダイニングに変更するケースが多い。これは「通風と採光」を意識している。「戸建てに比べて高い位置にあるマンションは、風や光が入る。昔の間取りは部屋が数多く区切られて通風、採光が悪い。これを改善した間取りにしています」

キッチン周り ビフォー

キッチン周り アフター。暗く狭いキッチンは開放的なレイアウトへと変更。

キッチン周りのビフォーアフター。暗く狭いキッチンは開放的なレイアウトへと変更。

 こだわった"木のリノベーション"の室内は高級な木造注文住宅のような仕上がり。これが人気の要因となっている。「無垢で作った高級な新築注文住宅は高く、今の時代、購入するにはハードルが高いもの。でもリノベーションならそこまで費用をかけずに木の家に住むことができます」


マスタープラン一級建築士事務所(兵庫県西宮市)

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