中古住宅とセット提案で差別化
「和久環組(わくわく)」という一風変わった名前の会社が今、実績を伸ばしている。同社は昨年秋に営業を開始した"ワンストップサービス"会社。"ワンストップ"とは、中古住宅の仲介、リノベーション、一体ローンをワンセットで提供するサービスの名称。特に30代の若年層から人気を集めている。
7FEEL「オーガニック」テイストの仕様
40件の実績
平均工事単価は865万円――――。和久環組は、中古住宅仲介とリノベーションを組み合わせることで、高単価のリフォーム受注 に成功している。本格的に事業を開始したのは昨年9月。「BeatHOUSE」というブランドで営業を行っている。新会社にもかかわらず、既に約40件の成約実績がある。
鎌田友和社長は「来期は年間110件の受注を目指します」と話す。依頼者の多くは30~40代のファミリーが中心。「住まいに自分のこだわりを実現したいと考える傾向がある人」(鎌田社長)という。
同社の強みは2つある。1つは、中古住宅仲介とリノベーションをセットで提案できること。もう1つはユーザーがリノベーションを理解しやすく、かつスピーディなプランニングと見積もりが可能なリノベ商品「7FEEL(セブンフィール)」。
リノベも不動産も
同社では現在4人の不動産営業マンがおり、中古住宅とリノベーションのコンサルティングを行う。従来型の不動産会社では、予算いっぱいの不動産を提案してしまうケースが多いが、同社の場合、予算の中からどれだけリノベーションにお金をかけるかをヒアリングし、物件を決めていく。
また同社には設計担当がいるため、不動産営業マンと連動して改修提案することが可能だ。一般的な不動産会社では手間のかかるリノベーション相談に十分に対応できないケースも少なくない。
このリフォームと不動産をトータルで相談できる点が他社との差別化になっており、ユーザーに選ばれている大きな理由だ。
テイストで選ぶ
2つ目の強みである「7FEEL」。これは7種類のリノベーションのパッケージ商品。7つのメニューそれぞれには以下のような名前がついている。「ビーチ」「ノルディック」「ビンテージ」「ログキャビン」「オーガニック」「ジャパニーズ」「スタイリッシュ」。
例えば人気商品の1つ「オーガニック」であれば、無垢材を床や腰壁に使い、壁は白の塗装仕上げ。シンプルなデザインを好むユーザーをターゲットにした商品だ。
名称ごとに仕様が決められており、ユーザーは好きなテイストを選び、間取りなどを打ち合わせるだけでリノベーションが完成する。1からプランニングしていくフルリノベーションよりも完成前のイメージがしやすく、効率的にプランニングできる点が特徴だ。
築年数が古い物件については1度スケルトン状態にするため、間取り設計はどの商品でも自由。価格は平米10万円前後。同社のユーザーは70~80平米の2000万円程のマンションを購入するケースが一般的。その場合、リノベ費用は800万円前後になる。
一度すべて解体してから再生する
スケルトンリフォームで見た目や性能を改善
4割が成約
物件は築年数やエリアを調整して、平均5件くらいの内覧をする。現状、内覧したユーザーの4割程度が成約に至っているという。
物件が決まれば、買い付けの申し込みを入れ、その日のうちにプランと概算費用をユーザーに提供する。事前に「7FEEL」で好みと予算を把握しているためすぐにプレゼン資料を作ることが可能。「中古住宅はあっという間に売れてしまうので、買うと決めたら、すぐにリノベーションのプランと費用を決めることが重要。物件を買うかどうか判断できる材料をどれだけ早く提供できるかがカギ」(鎌田社長)。
最近は愛知県の不動産会社アップウィッシュグループ(愛知県岡崎市)とコラボし、ワンストップショップ「空間工房KULABO」をオープン。引き続き、営業エリアの拡大を図っていく方針だ。
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