石巻に大工6人を派遣、気仙沼にワゴン車2台寄付
石巻に大工6人を派遣、気仙沼にワゴン車2台寄付
本紙は震災以降、「リフォーム応援隊」と名付けた復興支援プロジェクトに取り組んできた。全国の工務店やリフォーム会社の協力により、建設工具や作業に必要な物資・職人の提供などを通じて復興を支援したいという企業と、被災地の工務店をつないできたのだ。

▲軽トラのプレゼントで感謝のメッセージ、気仙沼の齋藤住建、齋藤久義社長親子と協力会社千葉誠の方々。後ろに建つのは齊藤社長の自宅。周囲40世帯が全て流されてしまった中で奇跡的に残ったものの壊れたまま住めないでいる
今回は東京のリフォーム会社・ホームテックが寄付した2台の軽トラックを被災地に届けることに成功した。そのうち1台のワゴン車を受け取った齋藤住建(宮城県気仙沼市)の齋藤久義社長が話す。
「建機から作業場まで全部、津波に流されて、仕事なんてやる気がしなかったんです。けど、埼玉で工務店をやってる同級生から工具一式が届いて気が変わった。不思議なもんで職人ってのは道具や建機を見るだけで元気が出るんですよ。このワゴン車を見て、また元気が出てきました」
こう笑顔を見せるが、齋藤社長の自宅は津波で半壊。家族6人がそろって自宅に戻るには、今しばらく時間がかかるという。
▲軽トラのプレゼントに喜び感謝の言葉を述べる及川工務店の及川社長夫妻と気仙沼市にある現地協力企業、千葉誠の方々
もう1台のワゴン車を受け取った及川工務店(気仙沼市)の及川純一社長も同様に津波で深刻なダメージを被った一人だ。
「15mの高さにある線路の上に家が3軒乗っかっていたから、自宅付近に押し寄せた津波の高さは20m以上あったんでしょう。当然、家は全壊。車は5台流されました。けど、震災前から県道の管理を任されていたので、落ち込んでる暇もなく、震災翌日から休みなしで道路のガレキ撤去作業を続けてきた。この軽トラで、だいぶ仕事がはかどると思います」
▲今年1月には、リフォーム応援隊を通じて、北海道旭川のビルダー・リフォーム会社であるカワムラによる「ヒト支援」も実現した。6人の職人が極寒の地・旭川から"助っ人"として石巻に送りこまれたのだ。いずれも棟梁クラスの精鋭ぞろい。だが、思わぬ困難に直面しているという。6人のリーダー格の苗村孝之さんが話す。
「石巻は、旭川よりも寒いですね(苦笑)。海沿いで風が強いので、盆地の旭川よりも体感温度が低いのかもしれません。旭川は過去にマイナス40℃を記録したこともある土地ですから、住宅の断熱改修が進んでいます。そうした住環境の差もあるのでしょう」
旭川の助っ人までもが「寒い」と口をそろえる今年の東北。被災者と同様に過酷な環境で、復興に取り組む彼らの活躍は現地の人々には大助かりだ
被災地の今(1)解消されぬ人手不足が復興を足止め...
被災地の今(2)復興作業員以外に人がいない南三陸町
被災地の今(3)伝統工法の家は大津波でも残った
被災地の今(4)石巻に大工6人を派遣、気仙沼にワゴン車2台寄付

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