住宅関連企業向けに経営ノウハウの共有や視察会を実施する日本優良ビルダー普及協会(=JGBA・東京都港区)。2021年1月の設立以来、加盟企業数は増加し続け、2024年12月には300社に達した。加盟増加の背景について、同団体の代表理事・田島亮氏に話を聞いた。
年5回の企業視察会が好評
定員25名が満席に
マエダハウジングの視察会時の様子
同協会は工務店、ビルダー、リフォーム会社、住宅関連企業を対象に2021年1月に発足した。情報共有を通じて、住宅業界の発展を目指している。
設立当初の102社から毎年増加し、2025年2月時点の加盟企業は308社に及ぶ。内訳は工務店が175社、リフォーム会社が15社、建材メーカーや建築会社などの賛助会員が120社、メディア会社が10社となっている。
加盟企業が急増した理由の1つが、年5回ほど開催される視察会だ。このバスツアーでは、有力住宅・リフォーム会社のオフィスや建築現場を1日で複数箇所訪問する。さらに勉強会や懇親会も行う。過去には例えばLibWork(熊本県山鹿市)やブルーハウス(愛知県豊橋市)といった地域の工務店、マエダハウジング(広島県広島市)といったリフォーム会社の視察会を訪問した。
視察先では1箇所あたり30分の自由見学ができ、スタッフとの質疑応答も可能だ。最新の設計・施工技術、業務効率化の取り組みなど、各企業の強みを直接学ぶ機会となっている。参加費は会員が5000円〜1万円、未会員は3万〜3万500円。定員は25名で、毎回満席となる。うち1〜2割はリピーターだ。
例えば、昨年10月に開催した「マエダハウジング視察会in広島」には会員・未会員を合わせて定員を超える人数が参加した。地場の有力リフォーム会社であるマエダハウジングが運営する3店舗を訪問。築30年の日本家屋を大規模リノベーションした店舗や、水回りリフォーム専門店など、それぞれの特徴ある店舗を梯子し、現場スタッフから展示や接客方法などを直接聞くことができる点が好評だった。
視察先は店舗のみとは限らない。2025年2月に実施した「セイズ視察会in東京」では、分譲住宅に強みを持つセイズ(東京都葛飾区)の建築現場、完成現場、本社の4カ所を視察した。
「現場監督や作業員の方とどこのメーカーの建材を使っているか、といった具体的な話をすることができるので好評です」(田島代表理事)
26年まで計画
現地での合流は行わ ず、1カ所に集合してからバス移動を行っているが、それにも理由がある。移動中も参加者による交流を促進するためだ。座席は相性の良さそうな、初対面の企業の社長同士が隣になるよう指定されており、自己紹介タイムを設ける。また、会話づくりのきっかけになるようなペーパーシートも配布する。
これにより企業同士で思わぬつながりが生まれることもある、と田島代表理事。「バス内での会話がきっかけで共同プロジェクトが生まれた例もあります。お好きなところに座ってくださいって伝えると、同じ会社や仲が良い人同士で固まってしまう。2人席に1人で座り、荷物を横に置いて携帯で仕事を始める方もいます。そんなことは許しません(笑)」
視察後は講演会や懇親会を開催する。講演会は経営者だけでなく、実務担当者らに登壇してもらうのが特徴だ。「社長からは創業時からの歩みや経営方針などの大局的な話をしていただきます。それだけでなく、実務担当者からは営業、マーケティングや広告販促などの具体的な話をしてもらいます」(田島代表理事)
参加者は視察先の企業による情報公開量の多さに驚き、自分たちも公開したいという声が挙がった。視察会は昨年までに延べ12回を実施。2025年から26年にかけて13回が計画されている。
500社が目標
視察会のほかにも、動画やセミナーなどさまざまな会員特典がある。1つ目は動画コンテンツで、住宅営業のノウハウや現場管理の工夫、OB顧客への対応術など、実践的な内容が学べる。2つ目はリアルセミナーだ。毎月1回開催され、住宅会社の経営者や専門家が登壇する。3つ目は、ゴルフ大会などの交流会の実施。4つ目は、会員限定サービスで、セミナー資料の提供や営業自動化システムの割引、提携企業による特典提供なども行っている。加盟金は5万5000円、月会費は9900円。住宅業界で事業を行っていれば、規模や年商を問わず入会可能だ。
今後は毎年100社ずつ増やし、最終的に500社を目指す方針だ。コンテンツの見直しを続けながら、さらなる発展を図る。「新築の業界が苦しくなっているので、情報収集が何より重要な時代になりました。会社の大小に関わらず、良い住宅を提供したいという志を持つ企業に参加してもらっています」と田島代表理事は語る。
例えば、工務店向けのリフォームを勉強できる動画コンテンツを強化していく、と田島代表理事は前を見据える。「将来的には人材や物の貸し借りができるような団体になれたら面白い。例えば、繁忙期の人材派遣や、余剰資材の活用なども視野に入れています」
田島亮代表理事
- 団体概要
- 2021年1月設立。住宅業界の発展を目的として工務店、ビルダー、リフォーム会社が加盟する会員制団体。役員には次の9社の代表が名を連ねる。ライフデザイン・カバヤ(岡山)、百年住宅(静岡)、アイワホーム(大阪)、リアンコーポレーション(栃木)、ネクストワンインターナショナル(東京)、オリバー(富山)、匠工房(滋賀)、マルコーホーム(和歌山)、丸尾建築(兵庫)。

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