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中古住宅の仲介とリフォームを組み合わせることで売り上げを伸ばしているのがウィルグループ(兵庫県宝塚市)。前期の売上高は前年度比22%増の9億3000万円。不動産営業マンとリフォーム営業マンが連携して提案するビジネスモデルが成功の要因だ。
▲ウィルのリノベーション事例
中古の6割を改修
「中古住宅仲介の6割に400万円くらいのリフォームがついてきます」。こう話すのはリフォーム部門のキーマンの佐藤慎二郎取締役。同社のリフォーム事業の特徴は、中古住宅の購入希望者に物件とセットでリフォームを提案し、全面改装クラスの受注に成功している点だ。
ウィルは新築の分譲や不動産仲介事業がメーンで、年間400件弱の中古住宅仲介を手掛ける。リフォーム事業についてはウィル空間デザインが担当。さらに、グループ会社のWFCが建物とリフォームの一体ローンを提案。不動産購入からリフォーム、金融までをグループでサポートする「ワンストップ」ビジネスが売りだ。
▲デザイン性の高い事例はウェブでも人気
工事の10%が成績に
同社の強みは、中古住宅購入者に対して約40人の不動産営業マンがリフォームについても積極的に提案することだ。佐藤氏は「リフォームもあわせて契約に至った場合、その営業マンに工事金額の10%が営業成績になるようになっているから、みんな頑張れるんです」と話す。
同社ではリフォーム営業マンが仲介営業マンをサポートする形で中古住宅購入希望者の相談に対応する。これにより不動産営業マンは具体的なリフォーム内容のヒアリングや詳細なプランニングについては関わらない。あくまで施工事例などを通じて、これまでどんなリノベーションが行われてきたかについてイメージを伝え、詳細な相談は専門のリフォーム営業マンが詰めていくという体制となっている。
「打ち合わせ中にリフォーム の営業マンがざっくりとした間取り変更や内装のプラン、概算見積もりなどを提案することもできます。ほとんどの方がまさか不動産会社でリフォームのプランがすぐに出てくるとは思わないので喜ばれます」(佐藤氏)
▲女性向けのリノベーションセミナーが満席に
手数料3割を還元
集客にも工夫がある。平日に不動産を契約した場合、仲介手数料が3割引キャッシュバックになるというサービス。割引により他の不動産会社との差別化を図り、集客力を高めることが狙い。さらに、不動産相談客は土日に集中するケースが多いので、比較的余裕のある平日の相談を増やすという考えもある。
また、リノベーションの魅力を伝えるためにウェブサイトでのPRを強化。月間15万アクセスがある。ホームページでは施工事例写真を中心に更新し、依頼者のほとんどが閲覧している。さらに、女性を対象にした「リノベーションセミナー」を実施し、中古の魅力を発信している。
「中古は立地の選びや内装デザインの自由度が高いほか、もし結婚したりライフスタイルが変わった場合に、リノベーション物件なら賃貸に出したり売却もしやすい。費用も今払っている賃料とそれほど変わらない予算でできると伝えています」(同氏)。同社の30~40代の女性顧客のうち65%が単身女性で、年々増えてきているという。
今後については、売却査定の依頼を増やしていく方針。売却物件を預かり、リフォームのプランを作り、それをもとにリノベーション希望者を募っていく。
ウィルのワンストップビジネスモデル

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