~アメリカ キッチン&バス最新リポート Vol.4~
米国のキッチン・バストレンドを紹介する本連載。4回目の今回はオレゴン州ポートランドにある有力リフォーム会社「ニールケリー」のキッチンリモデル戦略を紹介する。同社は米「リモデリング」誌の売上ランキング・フルサービス部門において全米4位にランクしており、年商は約32億円。中でもキッチン改修に強みを持っている。
●キャビネット工房

人気のテイストはシンプルなヨーロピアンスタイル。よく使われる樹種はアルダー、アメリカンチェリー、メープルキャビネット工房
2割が工房を持つ
「キッチンのオリジナル性を追求するために、キャビネット工房を持っています」。こう話すのはニールケリーのトム・ケリー社長。同社がキッチンに強い理由の1つが多様なニーズに応えるオリジナルキッチンの生産技術だ。
「工房には全部で6人の開発担当がいて、月間40~50セット製作しています。自社の分だけでなく、他の会社への販売も行っていて、今は軍から受注した80個のキャビネットを作っているところです」(ケリー社長)。出来上がったキャビネットに、天板、水栓、金具、設備などのパーツを組み合わせてフルセットが完成する。同社長によれば、米国で総合リフォームを手掛ける会社の2割程度は工房を持っているという。
●ニールケリーショールーム



キャビネット、天板、水栓、シンク、収納、冷蔵庫、オーブンなどを自由に組み合わせたオーダーキッチンを展示。プラン力とキッチンリモデルの魅力をPRする
ショールームで魅せる
そしてキッチンリモデルのPRには1979年から運営しているショールームを活用する。本店には6種のキッチンが展示されており、デザインや色味、使い勝手、パーツなどを比較検討することができる。
良いキッチンづくりには良いデザイナーが必要だ。同社には有資格者が数多くおり、これも強みの1つ。同社には「CKD」「CBD」という資格者が12人いる。これは全社員の約半分。例えばCKDとは、Certified Kitchen Designerの略で、米国のキッチン・バスの業界団体「NKBA」が運営している資格制度。一定期間の実務経験と講習、さらに試験を合格して得られるもので、そう簡単に取れるものではない。
2週に1度、成功例発表
さらに、同社では2週間に1回行われるセールスミーティングの際、デザイナーが最近手掛けたリモデル事例を社員の前でプレゼンする機会を設けている。取材時は、デザイナーのカレンリッチモンド氏が築60年を超える家をリモデルしたプロジェクトについて、ビフォーアフターの写真を用いて解説していた。デザイナー同士が優れたアイデアを共有する場を作ることで全体のレベルアップを図ってい る。
常に良質なキッチンリモデルを追い求める体制がニールケリー社の原動力となっている。
●キッチンリモデル事例



築50年以上が経過した住宅をリモデルした事例。以前キッチンは小規模だったが、アイランドスタイルに変更し、窓外の景色が見られるように変えた
―――≪連載1回≫ 米国は「ミックス」「欧風」「家具調」のキッチンがトレンド
―――≪連載2回≫ 米国キッチン新たな役割、作業場から"集う"場へ
―――≪連載3回≫ 米国、バスタブの「壁離れ」が人気 高機能から"浸かる"に回帰
―――≪連載最終回≫ 水まわりリモデル、暮らしの数だけプランあり

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