【地域密着型リフォーム会社作りの設計図】人づくり・客づくり・店づくりをベースに地域密着型リフォーム会社の作り方
第12回「たった3つの数字でストレスフリーを手に入れる」
たった3つの数字で経営状態を把握し改善策を施す
経営者であれば常にいくつもの悩みや問題に直面しながら自身の判断で経営の舵取りを行わなくてはなりません。特に毎月安定した売上を築くのは容易なことではありません。
目標を掲げ、緻密な計画を練り、日々努力を重ねた結果、思い描いた通りに目標を達成できることもあれば、反対に上手く行かないこともあることでしょう。月末に社員全員の努力で月次目標を達成できたとしても、一晩寝て起きればまた0から売上を築かなくてはなりません。そんなことを12回繰り返すとなれば、気が重くなるのも当然です。
今回は少しでも経営者のストレスを軽減するために「たった3つの数字でストレスフリーを手に入れる」をお伝えして参ります。3つの数字から経営状態が読み取れるので、経営者として今何を行動すべきか分かります。
1. 3つの数字
ストレスフリーを手に入れる3つの数字をお教えしましょう。
以下の(1)~(3)を常に数値化することで、経営状態が読み取れ、改善すべき点が浮き彫りになります。
- (1) リード(見込み客)
- (2) CV(成約率)
- (3) LTV(顧客の生涯価値)
(1) リード(見込み客)
あなたの会社の月次売上目標を達成するために、絶対に欠かせないのが見込み客の獲得(見込み案件)です。例えば月次売上目標が3,000万円とした場合、見込み案件の合算金額が3,000万円を超えていなければ、そもそも目標を達成できるはずがありません。
しかし見込み案件が3,000万円を確保できたとしても、相見積もりの結果、ライバルに負けてしまうこともあるでしょうし、お客様の都合でリフォームの計画が保留や中止になることも考えられます。
つまりDMや新聞チラシ、SNS広告などあらゆる手法を駆使し、毎月たくさんの見込み案件の獲得が必要になります。
(2) CV(成約率)
マーケティングの成果によりたくさんの見込み案件を獲得できたとしても、成約に繋げることができなければ、売上を作ることはできません。毎月たくさんの見積もりを作り、商談を重ねても成約に至らなかったら、営業は疲労するだけでやる気をなくしてしまいます。もしCV率が上がらない営業がいたとしたら、現場調査から商談までの間のどこに問題があるのか検証をしてみましょう。
例えば現場調査が不十分でお客様から信頼されていない、見積書の提出が遅い、見積書の作りが雑なため信頼を得られない、商談の進め方が下手でお客様に説明が伝わらない、などどこかに問題があるのではないでしょうか。問題が浮き彫りになれば、修正することで徐々に成約率を上げることができます。
(3) LTV(顧客の生涯価値)
一度取引させて頂いた顧客から生涯に渡りリフォーム工事を依頼頂くこと。一人の顧客から浴室、トイレ、キッチン、洗面、内装、屋根、外壁など全てのリフォーム工事をあなたの会社にご用命頂くことができたとしたら一世帯あたり800万円程度の売上が見込めます。
顧客保有数×800万円と計算してみれば、将来どれぐらい売上が見込めるのか予想を立てることができます。フロントエンド商品を準備し商圏内の顧客にアプローチを図り、依頼があったら親切丁寧な仕事をして顧客から信頼を得る。これを繰り返すことで顧客保有数を増やすことができます。給湯器やトイレなどは10年サイクルで買い替え需要が発生するので、買い替えのタイミングを逃さないように日頃から顧客との関係強化に取り組むことです。
2. 事例から経営状態を読み取る
多くのリフォーム会社は月次売上を把握するために、以下の数字から経営状態を把握されていると思います。
今月の見積もり件数:87件
見積り金額:55,790,494円 見込み粗利:33.1%
受注件数:51件 11,769,691円 見込み粗利34.0%
失注件数:2件 399,090円 見込み粗利40.8%
今月の見積り件数と金額がリードになります。
受注件数と金額がコンバージョンになります。
LTVは受注案件を新規、顧客に分けることで把握できます。
この数字から経営状態を読み取ると改善すべき点が浮き彫りになります。
1.案件の平均単価
見積り金額を見積り件数で割ると案件の平均単価が出せます。
5,580万円÷87件=64万円
自分たちが目標に掲げている案件の平均単価とずれが生じていないか確認すると共に、チラシやSNS広告で訴求した商品の販売に繋がっているか検証してみましょう。
2.リード(見積り金額)は十分に足りているのか?
リードを作り出すために、どんなアクションを起こしたのか?またそれらにより反響を十分に得ることができて目標に掲げているリードを獲得できたのか?
3.CV(成約率)
87件の見込み案件を獲得し、51件を成約し、2件の失注という結果が現れた。成約に至った51件の平均単価は23万円。給湯器やトイレなどの小規模のリフォームがコンスタントに成約に至ったことが読み取れる。
一方で商談中、またはこれから商談となる34件の平均単価は128万円となる。浴室やキッチンなどのリフォーム工事が契約に繋がることを期待したい。
成約に至った案件は新規客なのか、それとも顧客からかを分析しLTVの数値を把握することも怠らないように。
4.失注
現時点で2件の失注だが、見込み粗利が40.8%とかなり高い利益を確保しようとした案件であることが見受けられる。見積もりの段階において40.8%もの高い粗利を取りに行くことが望ましかったのか検証が必要。
まとめ
「たった3つの数字でストレスフリーを手に入れる」には、リード、CV、LTVを数値化すれば会社の経営状態が浮き彫りになります。
経営者にとってストレスの原因になるのは、自身で予測ができないことにより不安に陥るからではないでしょうか? 今月はなんとか目標を達成できたけど、来月はどうなんだろう?と無駄な不安を抱えて眠れない日々が続く。もしあなたがこうした状況に陥っているのであれば今直ぐにリード、CV、LTVを数値化してください。
毎日朝と夕方に3つの数字を読むことで、経営者として今アクションを起こすべきことが何か分かるので、あとは行動に移すだけです。例えばまだ成長過程の新人が多い会社であれば当然、CVも思うように行かないと思います。成約率が3割にも満たない営業が多いとなれば、スキルアップを図るために全力で取り組めば良いのです。
もし育成に余裕がなければ、全く逆の発想で考えれば良いのです。例えば毎月3,000万円の売上を目標とするのであれば、1億円のリードを確保すれば良いのです。
仮に1億円のリードが確保できれば、データ的には3,000万円の売上が作れることになります。売上の予測が立てられれば、経営者はストレスフリーを手に入れることができ健全な精神状態で経営の舵取りができます。
「地域密着型リフォーム会社作りの設計図」と題し全12回に渡り、お伝えしてまいりました。
地域に密着し日々営業努力されているリフォーム会社様がこれからもそれぞれの地域で必要とされ、益々発展されることをお祈りしております。
一年間お付き合いくださった皆様、ありがとうございました。感謝。
《プロフィール》
リフォーム応援団
長野県 牧野 雅之 代表
自身も長野県を中心に活動している地域密着型のリフォーム会社の経営者です。地元エリアにて50年の歴史を誇り、豊富な実積があります。リフォーム会社向けにFC加盟店へのコーチング、チラシ・ツール制作販売などおこなっています。
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