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《米国のリフォーム市場研究》日本にないもの

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《米国のリフォーム市場研究》 日本にないもの

リフォーム産業新聞社
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米国のリフォーム市場研究 《第4回》
日本にないもの

 米国のリフォーム業者が今、もっとも熱心に研究しているテーマの1つが「エイジング・イン・プレイス」だ。日本ではほとんど馴染みのない言葉だが、これは 《高齢者が今住んでいる家を改善しながら健康的に暮らし続けるための知恵》 とでも訳せば良いだろう。いわゆる「ユニバーサル対応」とは異なり、今はまだ元気に普通の暮らしができる人々を対象にしたものだ。

市や町がガイドブックを作成
市や町がガイドブックを作成

専門家育成プログラムを強化

 「CAPSプログラムですね。ええ、今、私たちがもっとも力を入れて会員に資格取得を勧めているのが、まさにそれですよ」

 米国で5万社のリフォーム業者会員を組織している最大のリフォーム団体NAHB REMODELERのエグゼクティブディレクターを務めるグィン・ドロヒュ氏はそう語る。CAPSとは、同協会が独自に作っているエイジング・イン・プレイスの専門家を育成するプログラムとその資格制度のことを指す。

 同協会ではこれまでにも会員のリフォーム業者向けに様々な研修と資格制度を作成し、そのレベル・スキルアップに取り組んできたが、CAPSはその中では比較的新しく、2006年からスタートしている。

全米に衝撃を与えたある論文

 実はそれに先立つこと6年前の2000年、米国の高齢化社会対応に大きな影響を与える画期的な論文が発表された。

 「Fixingto Stay」というタイトルのこの論文は、全米で3000万人以上の高齢者会員が所属する退職者のための団体が発表したものだ。米国社会といえば「一生の間に8回引っ越しする」と言われるほど移動が当たり前のように思われるが、実はそれはあくまで現役時代のことで、リタイア後は実に8割の国民が今住んでいる土地と家でできる限り住み続けたいと思っていることが、調査によって判明したのだという。

 そうなれば当然、住環境の整備が重要になる。

リフォームの必要な箇所をアドバイス
リフォームの必要な箇所をアドバイス

市や町がガイドブックを作成し配布

 しかしながら、前回のリポートでも紹介したように、米国でも築年数が経過した中古住宅には、安全性や利便性の面で整備が十分にはなされていない物件が多い。

 そこで、動きだしたのがNAHBのような専門家団体と行政だ。3枚の写真は、米国西部のある市が作成して市民に配布しているパンフレットの中身だが、年をとっても元気に暮らしていくためにいかに住まいが大切であるか、そして具体的に家のどこを直していけば良いのかをアドバイスしている。チェック表なども添付されており、とても分かりやすくできている。

チェックリスト表が用意されている
チェックリスト表が用意されている

日本では要介護者向けが主体

 日本では介護保険導入後、補助金効果で手すり取り付けなどのバリアフリー改修が盛んに行われるようになったが、これらはあくまで要介護者向け。

 一方で、まだ元気に暮らしている高齢者向けのリフォームは活発化しているとは全く言い難い。米国流のエイジング・イン・プレイスに学ぶべき点は極めて大きいだろう。

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