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【リフォーム会社の構造計算、耐震補強術】リフォーム会社や工務店が耐震、性能向上に取り組むべき理由

株式会社M’s構造設計 代表/構造塾塾長 佐藤 実 氏
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「リフォーム会社や工務店が耐震、性能向上に取り組むべき理由」

リフォーム会社や工務店が耐震、性能向上に取り組むべき理由、それは性能向上を行うことは建物や住む人にとって必要なものであり、リフォームは性能向上を行う絶好のタイミングだからです。

「耐震補強不要」は危険

では、具体的な性能向上とはなにか?

最低限、性能向上を行うべきは「耐震性能向上」と「省エネ性能向上」です。耐震性能向上は、既存住宅の耐震診断を行い、耐震性能を確認。その後、耐震補強設計を行いリフォーム時に耐震補強工事を行います。省エネ性能向上は、断熱改修や気密確保の施工を行います。

しかし、リフォームを希望するエンドユーザーの優先順位は、間取りの変更、水回りなど設備機器の取替の優先順位が高く、次いで、寒さ暑さを解消するために断熱改修だと思います。最もお金がかかり、地震が来たその瞬間しか効果がわからない耐震補強は、優先順位が最下位の場合が多いのではないでしょうか。

だからといって、耐震補強は不要を考えるのは、かなり危険です。なぜかと言えば、リフォームによって断熱改修や高性能窓への変更などにより建物重量は増加します。外壁を変更する場合も建物重量が増加する可能性も大きいと思います。建物重量が増加すると、その建物に作用する地震力は増加し、リフォーム前よりも地震被害を受けやすくなります。

新築以上に耐震性能を考えよ

実例として、2016年に発生した熊本地震では、耐震補強を行っていないリフォーム物件の倒壊被害をいくつも確認しました。また、ニュースにもなった南阿蘇でのアパート倒壊で大学生の命が奪われたそのアパートも、耐震補強をせずリフォームを行ったアパートでした(現地確認済み)。

リフォームは、新築時より手軽な建築工事と考えられているかもしれません。しかし、人が住み、地震時には命を守る建築物であることに変わりはありません。それ以上に、リフォーム時は、耐震基準の低い当時の建物であったり、耐震性能が劣化により低下している場合もあります。その視点で考えれば、リフォームにおいては新築以上に耐震性能を考えるべきです。

ぜひとも、耐震性能の重要性を理解の上、リフォームに取り組んで頂きたいと思います。

株式会社M's構造設計 代表/構造塾塾長  佐藤 実

プロフィール
株式会社M's構造設計
代表/構造塾塾長 佐藤 実
大学卒業後、工務店勤務。2006年に㈱M's構造設計設立現在に至る。
2010年東京大学大学院終了、同年「構造塾」スタート。「日本中の木造住宅が地震で倒壊しないことを目指す」理念のもと、構造に関するセミナー、構造計算技術者育成講座、構造計算内製化コンサルティングを行っている。2020年より「構造塾」をWeb化した「構造塾チャンネル」スタート。同時にエンドユーザーに向けたYouTube「構造塾」チャンネルでも情報発信をしている。著書に「楽しくわかる!木構造入門」などがある。
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