第4回 中古住宅流通ビジネスで売り上げるために不可欠なフォロー
人をどう育てるか
「不動産の仲介って意外に難しく、なかなか契約ができないので心が折れそうで...成果を出すには何か良い方法がありませんか?」
リフォーム産業フェアのセミナー後、中古住宅流通を手掛け始めたばかりの工務店の方からこう質問されました。始めたはいいが、不動産の経験者は社内におらず、かといって経験者を採用するには固定費がかかる。まずは営業であるこの方が手探りで始めたとのこと。
当初はそう難しくないと思ったものの意外に苦戦。「不動産ありき」の不動産営業は顧客の信頼を勝ち得ても他所から良い不動産を紹介されればそちらに行ってしまうので、顧客との信頼関係を軸に置く建築営業とは勝手が違う。「売り上げになかなかならない」と行き詰まっているとのことでした。
答えが難しいです。これには営業をフォローする、(1)利益を出す仕組みか、(2)教育する仕組みが不可欠。会社全体で解決する問題のようです。ですが「社長は現場に任せると言っていて」とあくまでも個人かつOJTで打開しなければならないとのこと。致し方がないので結局、個人の範囲内としてできることを私なりにお伝えしましたが、社長さんが本気で中古住宅流通に取り組む気なら、やる気のある現場をフォローアップする仕組みをつくる必要があります。
経営者と現場の温度差を知る
このように不動産での売り上げが立たず現場が悩んでいるのはよく聞きます。次の言葉はあるリフォーム担当者のものです。
「社長がこれからは仲介+リフォームだと言って取り組んでいますが、不動産は時間ばっかり食って売り上げになりません。社長もよく分かっていないのだから、リフォーム1本に絞ればいいのに」
フォローがない状況ですと現場のモチベーションは下がります。経営者と現場での温度差が生じてくるのです。
そのため、中古住宅流通に取り組むのなら、経営者自身も1回は不動産仲介をやってみるなどして、どのようなフォローを必要とするかを理解してみるべきかもしれません。また、その方が売り上げアップへのボトルネックを解消しやすいと思います。
先日、某建設会社で不動産の研修をしてきましたが、そこは社員が全員参加の上、研修が終わった後も2時間余り様々な質問をするなどのスゴイ熱気です。あまりの熱気に社長に「全社一丸で中古住宅流通に取り組むぞと勢いを感じます」と伝えると、「このような勉強の機会と評価する仕組みを与えてようやく不動産での売上高が上がってきました。売り上げが増えてくると皆やる気になるもんですよ」と笑っていました。現場をどうフォローするかの検討が必要のようです。
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