【 vol.9 】 「いかに惹きつけるか?」→「中小企業の強みで勝負!」
新卒採用活動では、(1)いかに集めるか、(2)いかに惹(ひ)きつけるか、(3)いかに見極めるか、が大事。前回は②について、自社のプラスポイントとマイナスポイントを学生に伝えるタイミングが大事と書きました。今回も(2)について、さらに話を進めます。
ポイント1) 就活学生が企業を選ぶ3つの基準
新卒の就活生が就職先を選ぶ基準は十人十色ですが、就職活動(以下、就活)を始める際の代表的な選択基準には「業種・職種などの【仕事内容】で選ぶ」「規模・知名度・安定性など狭義の【企業力】で選ぶ」「給与・休暇・勤務地などの【雇用条件】で選ぶ」の3つがあります。
ただし、就活を始めたときに重視していた項目が、就活期間を経て変化することもよくあります。
例えば、【企業力】を重視して大手ハウスメーカーを志望していた学生がいます。ところが、「お客様の顔が見える中小の住宅会社で営業をやりたい」と変わっていくケースもあります。
また、初めは給料面を重視していた学生が、「やはり自分の実力が試せる【仕事内容】がある会社だな」と考えるようになる場合もあります。
ポイント2) 中小企業は【仕事内容】で惹きつける
中小企業は、【企業力】【雇用条件】ではなかなか大企業に勝てません。そこで、【仕事内容】という中小企業でも勝負のできるカテゴリーの中で、接点を持った学生に対していかに魅力を感じさせるかが重要となります。
その際のポイントは感動や感謝、そして自身の成長などを交えた具体的なエピソードを伝えることです。
ポイント3) 【働く仲間】【社会貢献性】も強みに
就活を通じて、選択基準が新たに追加されることもあります。
例えば、興味のある業種を中心に会社を回っているうちに「結局は業種よりも、どんな社長の下、どんな仲間と一緒に働けるかが重要だ」と思うようになる場合などです。
就活過程でよく追加される基準には、「社長や社員などの【働く仲間】」「経営理念やビジョンなどの【企業価値観】」「地域やお客様、世の中に与える好影響【社会貢献性】」などがあります。中小企業だからこそ研ぎ澄ますことのできる基準はこのように多くあり、訴求ポイントとして意識すべき項目です。
常に学生の視点に立って自社を見つめ、中小企業ならではの魅力を伝えていくことが、「いかに惹きつけるか」において、非常に重要なのです。
ラン・リグ (東京都渋谷区)
代表取締役社長 渡辺昇一氏
「地域ダントツ化コンサルティング」を事業コンセプトに、地域密着ビジネスに特化した集客・営業・人材支援事業を手掛ける。設立8年で延べ350社、リフォーム・工務店・不動産・医療・大学・専門学校・学習塾・健康施設などクライアントは幅広い。渡辺昇一社長は、15年間延べ8500人以上の新卒大学生の就職支援に関わった経験を生かし、さまざまな業種の地域ビジネスで培った横断的なノウハウを提供している。ランリグ
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