【 vol.12】 学生1人に数社の争奪戦、「1番店」になれる強み打ち出す
前回までは、採用活動で(1)いかに集めるか、(2)いかに惹きつけるか、(3)いかに見極めるか、というポイントについて書いてきました。今回からは、採用関連のタイムリーなネタや使えるノウハウ、実際の採用現場で起こっている出来事などを取り上げます。
ポイント1) 学生1人に、求人企業は何社?
今回はまず、住宅業界を取り巻く、最新の採用市場について見ていきましょう。
各所で発表されているデータを元にして推計すると、新卒大学生の求人倍率は約2倍という数値になっています。この数値は、学生1人に対して2件の求人がある状態ということですので、求人している企業に対して就職を希望している学生が少ないという数値になります。
また、この求人倍率を300人以下の中小企業に絞ってみると、実は数値が4倍前後に跳ね上がります。つまり、1人の学生を4社の中小企業で取り合うイメージです。
さらに、昨今、人不足が叫ばれて久しい住宅業界に絞ってみると、数値はなんと6倍。基本的にはこの数値は掛け算になりますので、住宅業界の中小企業にとっては、優秀な人どころか新卒大学生を採用することすら、普通に活動しているだけでは難しいという数値になります。
そんな中で、各社とも工夫を凝らして採用活動を行うことになります。
ポイント2) 誰もが「1番店」に行きたがる
最近の採用市況を表すキーワードとして、「一極集中」というものがあります。
これは採用活動だけでなく、集客やその他企業活動全般にいえることですが、今はインターネットやその他情報インフラの発達などによって、さまざまな情報が容易に入手できるようになりました。
その結果、どの会社が、どの分野や地域での1番店だということが誰でも容易に分かります。2番店をイのイチバンに狙う人は少ないので、1番店に人気が集中するのです。
ポイント3) どの分野で「1番店」になれるか?
採用活動でも「一極集中」、つまり各分野や地域の1番店に応募が集中するという現象が起こっています。
ただ、だからといって住宅業界の中小企業があきらめる必要はありません。大事なことは、自社がどの分野や強み、特徴などで「一番店」になれるか。そして、どういう人にどういう理由で選ばれるのかを、考えぬくことです。
この情報化社会で、今後も一極集中の流れは止まらないでしょう。そういう状況の中で、就職先として選ばれる側に立つのか、そうでないのかは、企業の生き死にを握る重要なポイントになってきます。
ラン・リグ (東京都渋谷区)
代表取締役社長 渡辺昇一氏
「地域ダントツ化コンサルティング」を事業コンセプトに、地域密着ビジネスに特化した集客・営業・人材支援事業を手掛ける。設立8年で延べ350社、リフォーム・工務店・不動産・医療・大学・専門学校・学習塾・健康施設などクライアントは幅広い。渡辺昇一社長は、15年間延べ8500人以上の新卒大学生の就職支援に関わった経験を生かし、さまざまな業種の地域ビジネスで培った横断的なノウハウを提供している。ランリグ
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