第9回 物件とリフォームの一体型ローンの利用方法と注意すべき点は?
一体型ローンは増えつつある
中古住宅の購入とリフォームを一体として融資(以下一体型ローン)する金融機関が増えています。かつては住宅購入の金額分は住宅ローンとして出すが、リフォームの金額分はリフォーム・ローンとして出す、このような金融機関がほとんどでしたが、ここ数年で流れが変わりました。先日も日本経済新聞にフラット35が一体型ローンを取り扱うことを検討中という記事が掲載されました。一体型ローンの普及に向かっていると言えます。
とは言いましても、まだまだ過渡期ですので、金融機関に一体型ローンの利用を打診したとしても、以下の3条件のうちどれか1つは満たすことが求められるようです。
(1)お客さんの属性が良いこと(公務員や大手企業勤務など。年収もある程度必要です)
(2)購入物件の担保力があること(物件の流通性などエリア事情も見られます)
(3)自己資金が多いこと(物件の2~5割あれば出します、という金融機関があります)
要は属性と担保次第ということだと思います。
前にある金融機関から「属性が良ければ担保力とかは関係なしにリフォーム分も出しますよ」と言われました。その理由は「リフォーム分の評価ができないので、何かあったらリフォーム融資分を競売で売って回収するというロジックは使えない」「一方で勤務先が安定していて、高い収入が見込める方なら返済が滞る可能性が少ない。そこから攻めていけばリフォーム分も含めて融資承認が取れる」と仰っていました。非常に合理的です。
一方で(2)(3)は分かりやすく、担保評価以内であれば、何かあっても競売で回収できるので、リフォームでも何でも融資はします、ということだと思います。
条件に合わない個人事業主は苦労
逆にこの条件に当てはまらない方は一体型ローンの利用は苦労します。たとえば、個人事業主。前にご相談をいただいた方は直近の3年間、収入は安定していました。それにもかかわらず、いつもは気軽に審査を受けてくれる金融機関が軒並み駄目。その理由は「個人事業主はよほどでない限り収入の継続性がないから...」でした。
「リフォームはせず物件を買うというだけなら相談に乗れますよ」と言われましたが、それではしょうがないので、地元の金融機関に当たりましたが、そもそも一体型ローンって何?という感じで駄目。結局は策をこらしてノンバンクから1回借り、その後借り換える方法を採用しましたが、ここまで属性により融資は苦労するものだということを改めて感じました。
フラット35で一体型ローンを普通に使える日が来ればこんな問題もクリアになるのですが...