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インスペクションを営業ツールに

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インスペクションを営業ツールに

畑中学 代表 (武蔵野不動産相談室)
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中古住宅ビジネスのツボ第8回 インスペクションをプラスすることで中古住宅流通ビジネスは更に進化する

建物診断の3つの利用価値

 インスペクション(建物診断)とは、建物の現状を調査し、劣化状況や欠陥の有無を診断するものです。中古住宅流通ビジネスの現場では、インスペクションを営業ツールとして用いているところも多く、取り組まれている会社はそう珍しくないものとなりました。

 それでは、どのようにインスペクションは用いられるのでしょうか。おおむね(1)不動産会社にはできないサービスの一環として、(2)消費者との接点をつくるため、(3)消費者に対する専門性への信用確保、この3点で用いているようです。

 例えば、ある会社では不動産会社にはできない集客手段としてインスペクションに取り組んでいますし、またある工務店ではインスペクションを無料化して「ひとまず顧客に自社を知ってもらうのが大事」と消費者との接点づくりで利用しています。もうひとつ別の工務店ではインスペクションは有料ですが、中古戸建て取得時にインスペクションを行った消費者からのリフォーム相談は5割超、そのうち依頼につながるのは7割超とのことです。トータルで3割ほどの依頼ですから大きな営業ツールと言えます。

 「1度家を見てもらい、説明もしっかりしていたので安心して依頼しました」といったように建物の専門家としての信用を得たという声が多いようです。

 不動産業界ではインスペクションはトラブル防止で利用したり、営業面では消極的な意味合いでの利用が多いですから、それと比べると営業面で積極的にインスペクションが利用できるのは大きいと言えそうです。

診断結果について今後の課題も

 それでも、インスペクション利用には課題があります。

 それは、(1)結果を消費者が理解できるようにすること、(2)結果を伝えた後に「では、どうしたらいいのか?」という消費者の思いにいかに応えるか、です。

 いずれにも取り組んでいる会社はあるのですが、まだシステムとして「おおっ!」と思うところは寡聞にして少ない。先日も顧客が依頼をしてきたインスペクターの方が中古戸建ての現状を説明していましたが、どうも顧客の反応が鈍いので「分からないところは質問をされたらどうですか?」と促したら「聞いてもよく分からないので、質問も思い浮かばないのです...」と言っていました。

 要は、消費者の視点から「今後住む場合にどのような影響があるのか?」が見えにくいということです。この点を改善していくと、よりインスペクションは消費者に認知される有効な武器になるのだと思います。


畑中学代表(武蔵野不動産相談室)

≪ Profile ≫

1974年生まれ。不動産コンサルタント。宅地建物取引主任者のほか、不動産コンサルティング技能登録者などの資格も保有。長谷工アーベストで不動産の販売・企画・仲介業務に携わり、32歳で支店長に抜てき。2008年に武蔵野不動産相談室株式会社(東京都杉並区)を設立。「2時間で丸わかり 不動産の基本を学ぶ」(かんき出版)などの著作を持つ。 http://www.mf-soudan.com/
畑中 学 代表(武蔵野不動産相談室
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