第5回 不動産会社と連携するときはどうスタートするべきか?
「人」の問題
不動産事業を外製化にする場合、「人」の問題がとても重要です。成功事例がそう多くないのは、この問題が大きいからだと思われます。外製化は容易に取り組みやすい半面、経営者のやり遂げる気持ちが内製化と比べると弱い。それが人へのお金や、時間への投資をちゅうちょさせているようなのです。
実際に、外製化を撤退した方たちに理由を伺うと、利益を出すには高いスキルが必要であり、人が育たなかったと口々に言います。あまり人にお金も時間もかけられないとも言っていました。それなら、本業をしっかりやった方がいいという当然の結論になったようなのです。経営者にも一定のやりきる覚悟が必要なのです。
外製化でスタートする場合は、まず経営者自身か、それに準ずる立場の方でやってみる。これがもっとも妥当な方法ではないかと思います。いちいち上司にお伺いを立てるやり方をしていたら、連携する会社とテキパキとプロジェクトを進められませんし、また成功事例をつくるのに時間もかかるでしょう。不動産も建築も知り尽くすスキルの高い担当者がいれば別ですが、そう多くはないでしょうから、一般的にはこの方法でスタートするとよいと思います。
窓口は誰に?
その次は提携先(不動産会社)選びになります。ここでも、窓口の担当者が誰になるかで、その成否は変わります。同じく経営者かそれに準ずる立場の方に窓口になってもらうのが最良です。こちらはすぐ動いて判断をしても、提携先がモタモタしていると中古住宅流通では「不動産ありき」ですから、あっという間にアウトになります。
「私自身でまずはやりますよ」。この言葉を口に出す経営者の会社がいいようです。また、不動産会社、工務店どちらの立場に立っても「相手に利用されている」と感じる場面があるようなので、経営者同士ならその点も早急に払拭しやすいメリットがあります。さらに、利益が出るまで長い目で見ることも必要な視点です。
最後は経費の問題。外製化の場合は自身の活動経費は自分持ちと決めていることが多かったようです。提携料、紹介料などを融通し合う事例での成功例はあまり多く見られませんでした。うまくいっている事例では時間を共有し、何かと話し合う機会が多いようです。どんな会社でも、一定の成果を出すためには成功事例をつくり、それをシステム化するのが重要だと思いますが、この意思疎通の場で経営者同士がそのシステムをつくっていくことが大事だと言えそうです。
外製化はスタートを切りやすいのですが、その分、時間をかけていかないと成功はおぼつかないのかもしれません。
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