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完工直前で契約を解除したいと言われたら?

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完工直前で契約を解除したいと言われたら?

モッキンバード法律事務所 川目武彦 弁護士
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中小企業経営者の味方 川目弁護士が走るVol.4
中小企業が直面する経営の悩みを
法律の視点からアドバイスするコラム

《今回のお悩み

 リフォーム工事中のお客様から、完工直前で契約を解除したいと言われました。

 理由は他にもっと安く工事できる知り合いの会社を見つけたからだと...。説得しても応じてくれないのですが、法律的には解除しなくてはいけないのでしょうか?

《川目弁護士のアドバイス
~基本的には解除の必要なし~

 結論から言えばノーです。そのような要求に応じる必要はありません。しかしこのように契約を締結した後であるのに、不合理な理由で工事代金の減額を求められたこと、一度は皆さまご経験があるのではないでしょうか。

 さて、これがいわゆる「ダメ元」の工事代金の減額のお願いという程度の話であればよいのですが、中には、工事代金の減額に応じなければ契約を解除するなどという困った要求をしてくるお客様もいます。

 きちんとした見積書を作成して契約書を結んでいる限り、契約の内容に沿って工事をすればよく、工事契約の後に減額を求められてもこれに応じる必要はありません。

 仮にお客様が上記のような理由を言って施工を妨害し、そのために契約の履行が不可能になったときには、工事不能の責任が施主の側にあると言えます。この場合、工事が未完であることの責任は施主にありますから、約定の期限に工事が完了していなくても、発注者である施主は工事代金全額の支払い義務を負うことになります。

 ただし、このような法律的な帰結は、あくまでも上記のような事実を前提としています。ですから、契約を締結した後に工事代金の減額を要求してきたお客様が工事現場から退去するように要求したり、工事を妨害するなどの措置を講じてきたために工事の遂行に支障が生じたときには、どうしてそのようなことになったのか、その原因について非がないことが分かるように、事実経緯を客観的な記録にしておきましょう。

 なお、仮に工事代金に不満があるという理由であったとしても、お客様が施工業者側の損害を賠償するので工事を解除させてほしいとまで言ってきた場合には、原則として、施主からの解除が認められます。なぜならば工事を完成する前であれば、民法は受注側の被る損害を賠償すれば、施主の側から契約を解除することができると定めているからです。

 もっとも、このように損害賠償を申し出て契約の解除を申し出るというパターンは非常に珍しく、ほとんどが無条件の解除の主張でしょう。万が一、上記のような要求を受けた場合には、お客様の主張が契約に違反していること、そのような理由で工事の遂行を妨げるとその不利益はお客様の側に帰することを説明して納得をしてもらいましょう。


川目法律事務所 川目武彦 弁護士モッキンバード法律事務所 川目武彦 弁護士
埼玉県さいたま市に本部を置く法律事務所。町の工務店、不動産会社、リフォーム会社など、中小企業が直面する問題に詳しい。

この記事の関連キーワード : モッキンバード法律事務所 契約 減額

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