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《連載・経営Before⇒After》DXに取り組む上で大切な全体設計図の作り方

船井総合研究所 リフォーム支援部 マネージャー 石田朝希 氏
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経営Before⇒After
~船井総合研究所~Vol.3

前回の3月記事では、全体の設計図として「DXジャーニーマップ」を描くことが、DXを上手く進める第一歩だということを述べました。今回は、その全体像であるDXジャーニーマップの描き方についてお話していこうと思います。

住宅リフォーム事業DXジャーニーマップ

ジャーニーマップの作り方

(1)業務フローを洗い出す

まずは大きなプロセスを整理してみましょう。おそらく殆ど全てのリフォーム会社が、【反響受付⇒現場調査ヒアリング⇒プラン・見積作成⇒見積提出⇒契約⇒業者・顧客日程調整⇒業者発注⇒着工・工程管理⇒検査引渡⇒費用精算⇒予実原価チェック⇒定期アフターフォロー】というフローになっていることでしょう。予実原価のチェックをできていない会社や、自社が下請けなので業者発注をしない場合などには、それが御社の業務フローです。

(2)業務ごとに担当者を紐づける

大きな流れが明確になれば、次に各過程と【誰が・どのような作業をするのか】を紐づけていきます。例えば、反響受付では、【営業担当者が・紙の名簿に・名前と住所と連絡先を記載している】とか【ショールーム受付スタッフが・スプレッドシートに・顧客情報と案件内容を記載している】とか【電話口に出た社員が・顧客管理システムに・顧客名と住所と連絡先を記載⇒営業担当者に引き継ぎ⇒営業担当者がヒアリング内容を追記】など、さまざまなパターンがあると思います。

(3)業務の無駄を排除したプロセスに再整理する

各工程を可視化していくと、業務の無駄が見えます。主に明確になる無駄のパターンは、作業の重複、手段の分散、業務量の偏重です。

作業の重複の例を考えてみましょう。顧客情報の入力という一つの作業を、受付担当が紙の受付台帳に書き、帰社した営業担当が反響管理用エクセルに入力し営業会議に挑み、工務担当が同じ顧客情報データを積算・見積ソフトに入力している会社があったとします。これは、顧客情報の入力という一つの作業を、受付・営業・工務という複数の登場人物が、それぞれ異なるツールに入力しているという作業の重複の典型例です。

手段の分散は、社内の連絡手段において発生します。例えば、費用精算の過程で、入金確認作業が発生します。経理の入金確認手段はオンラインバンキングの自社口座。入金されたのかどうかを営業担当が経理に確認する手段として、電話、メール、チャットのほか、対面で確認する者もいる。入金情報が経理も営業も確認できるように一元管理できれば良いですが、実態は、入金確認の連絡手段がバラバラで、いつ誰に何の情報を伝えたのかが錯綜しているようです。

誰が何の仕事をしているのかを可視化すれば、さらに業務量の偏重も見えてきます。データの入力作業が、営業担当や事務に偏っていることも明白になります。

(4)デジタルツールやシステムサービスを紐づける

プロセスごとに具体的な作業内容・担当者・使っているツールを整理していくことで、見えてきた無駄を解消する手段を探すのが、次のステップ。作業の重複を解消するには、顧客管理と見積作成と積算機能を備えたソフトで顧客情報を一元管理すれば、最初に受付事務が入力した内容と同じ内容を営業担当や工務担当が入力する手間が省けます。例えば、ANDPAD、ダンドリワーク、SAKSAK、りふぉーむくん等が有名です。

(5)EX向上・CX向上が図れるのかを検討する

最後に、無駄を排除する目的で導入したシステムが、EX(従業員体験・従業員満足)とCX(顧客体験・顧客満足)の向上に寄与するかを検証します。現場管理を可視化したり効率化したりするために現場管理アプリを導入したが、紙の日報制度が社内に残っていては、現場管理アプリと日報に同じ内容を記載するという無駄が、従業員側に発生します。これでは従業員はただ仕事が増えただけ。EXの観点から、紙の日報制度は廃止することになるでしょう。

CXについても同様です。外壁塗装の案件でドローン現調をして、その結果がプランに自動反映されるとします。従業員のリスクと作業時間の軽減に繋がったとしても、ドローンが隣近所に迷惑をかけないかとお客様の心配だけ膨らむ場合には、CXになりません。お客様自身もメリットを感じれば、ドローン現調も良いDXです。

こうして、(1)~(5)のプロセスを経て、完成した理想的な業務プロセスが、DXジャーニーマップになるのです。


船井総合研究所 リフォーム支援部 マネージャー 石田朝希 氏船井総合研究所 リフォーム支援部
マネージャー 石田朝希 氏

リフォーム支援部の紹介
船井総合研究所リフォーム支援部は、「家を直す」施工会社を地域一番店化する経営コンサルティングを行っています。ビジネスモデル構築サポートによる業績アップも当然のことながら、DXによる事業の高生産性化や働き方改革など、業界の未来を牽引するグレートカンパニーづくりを支援しています。

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