物に関わる事例 ― vol.3 ―
建材、製品は規格に基づいた物がほとんどですが、その施工、取り付け等の問題は多く、現場での施工が課題です。今、熟練の作業員が減り、施工の品質が問われています。現に太陽光発電が人気になっていますが、にわか作業員が取り付けをして雨漏れなどの様々な問題を起こしています。リフォーム業界も人手不足と未熟作業によりクレームの増加が懸念されます。常に現場は確認と工程チェックでお客様の満足を確保しましょう。以下に事例を紹介します。
Q 外壁塗装の色が打ち合わせと違う
【状況】 アパートの外壁塗装で打ち合わせ後の確認作業を怠たった結果です。工事中はシートが張ってあるため、確かな色は分かりませんでした。サンプル帖は見て決めましたが、実際に塗った色がお客様の記憶と違う結果になりました。結果は全部塗り替えざるを得ませんでした。
A サンプルと現場の色の確認をします。色は、グリーンでも濃淡があり、何種類の色合いも有りますので色番等を明示します。塗装色は日の当たる部分と日陰では同色でも色合いが違いますので、それぞれ確認しましょう。
Q 家具に傷を付けた
【状況】 家具を移動しながらの内部工事で家具に傷が付きました。職人も気付かずに工事をしていたため、隠したと思われました。高級そうな家具なので、補修を専門業者に依頼し、施主の了解を得ました。
A 傷は工事完了時に発覚することが多いです。養生は、薄いものでは傷は防げないことも有ります。まず前提として、大事な物はお客様に管理していただきます。傷が付いてしまった場合は、即報告をしてお詫びをしましょう。修理が可能なら専門業者に依頼し、駄目なら同様の物を買うしかありません。なお、事前に写真を撮り、あとあと揉めることがないように備えましょう。
Q タイルの目地幅が違う
【状況】 外壁と門塀のタイル工事で種類も大きさも異なるタイルを貼りました。そのため、外壁と塀のタイル目地幅に数ミリ差が出てしまいました。大きさも形状、貼る面積も違うので、割り付け等により目地幅が多少変わります。しかし、事前の説明がなかったので施工不良と思われました。そこでタイル施工マニュアルを説明して納得いただきました。
A 事前にタイルの種類や面積による割り付け、段数等を説明しましょう。タイルの実物を当て、さらに施工方法も同時に説明しましょう。お客様は同じと思っていますので、再度色、品番も確認しましょう。
その他の物に関わる事例としては以下のようなものがあります。塗装が剥がれた、タタミの質が悪い、床下の束の位置がおかしい、タイルの段差が有る、ステンドグラスの色が気に入らない、収納に布団が入らない、家具に傷が付いている、防水シートが切れて雨漏りした、雨樋が詰まって雨漏りがする、玄関ドアが反った等です。
≪Profile≫
20年以上にわたり、大手ハウスメーカーの営業所長、事業所長を歴任。その後新設されたリフォーム事業所長に抜擢、8年間で業務・経営効率の改善を図り業績伸長に貢献した。2010年にカーサ企画を設立、現在はリフォームや不動産コンサルティング活動のほかセミナー講師を行っている。
◆會田氏の著書◆
クレーム110番:クレームを5つに分類し、57の事例紹介と解決策、および予防策を解説している。人材教育テキストとして活用するリフォーム会社も多数あり。
最新記事
【連載記事一覧】
- 予定管理の徹底でクレーム防止しよう
- お客様目線を謙虚に受け止める ~クレーム110番~
- クレームがキッカケにし、次の商談に活かす
- 全員で認識を共有しクレームの予防
- クレームになる兆候を見つける訓練を
- クレーム対応は「最初のお詫び」が決め手
- 「対応スピード」が明暗を分ける【クレーム110番】
- 期待が大きいとクレームも大きい お客様目線で考え事前に防ごう 【連載】クレーム110番
- クレーム対応...相手はどんなタイプ?!まずは冷静な対応を
- U字溝、アンテナ、騒音をチェック 【連載】クレーム110番
- ルーズな対応がクレームに 時間に関わるクレームの対応とは?
- 事前の説明でクレームを防ぐ《連載》
- 常に確認と工程チェック!事前に詳細な説明を 【連載】クレーム110番
- 約束、マナーを守り信頼獲得 【連載】クレーム110番
- クレームをチャンスに変えるには?