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ヴォーバン住宅地の取組みは「地域でお金を回す仕組み」 《ドイツ取材日記最終回》

リフォーム産業新聞
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■ ドイツ取材日記 最終回 ■

南ドイツの環境都市、フライブルグ市にある「ヴォーバン住宅地」の家づくり、街づくりにスポットを当てて、紹介してきた当欄もこれが最後。
改めて「ヴォーバン住宅地」の注目ポイントをおさらいしておく。

ヴォーバン住宅地

ポイント(1) コンパクトシティ

ヴォーバン住宅地は約38ヘクタールに2200世帯5、500人が暮らす。建物の基本は連続長屋型の集合住宅。約400戸が賃貸住宅、1800戸が分譲住宅、そのうち1500戸が住民たちによるコーポラティブハウスだ。
また住宅地の3/4においては家の前に駐車スペースを作ることができない。車は敷地内2か所に巨大な立体駐車場を利用する。ユーザーはそこまで徒歩・自転車で向かう。これもコンパクトに暮らす工夫の一つだ。

ポイント(2) パッシブハウス

ヴォーバン住宅地の建物は高性能なパッシブハウス仕様のものが大半だ。高性能住宅の原理原則は、

  1. 断熱性能を高めて熱損失を抑える。
  2. 日射取得と日射遮蔽を設計に織り込む。
  3. 熱交換性能の高い換気システムを採用。
  4. 蓄熱容量の多い材料を使用する。
  5. 太陽熱利用、コージェネレーションシステムなどの活用、などが挙げられる

これらの条件をクリアした住宅では年間の光熱費が250ユーロ(約2万5000円)の建物もある。

ヴォーバン住宅地が以上2つのポイントにこだわってきたワケとはなんだろうか。ポイント①は人口が減少しても、公共サービスを継続させるためだ。交通や医療などの行政サービスが行き届かない場所の住宅にいくら素晴らしいリフォームしても意味がないからだ。ポイント②はエネルギーとして海外に支払うお金を建築職人などの雇用に回すためだ。中東やロシアに燃料費払うくらいなら、エネルギーを使わない家にするために断熱改修や省エネ建築を推進し地域にお金を回す方が、地域の活性化に繋がるからだ。リフォーム事業者も地域において生活者を守っていくうえで、こういった視点も必要になるのではないだろうか。

了 ≪中谷哲郎 著≫

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