人に関わる事例 ― vol.2 ―
クレームの対応で一番厄介なのが人に関わる内容です。建築は人が介在する部分が他業種と比較しても大変多いアナログの仕事で、営業段階から設計打ち合わせ、現場の作業、アフターメンテナンス等全て人が動かないと進みません。全員が挨拶・報告・連絡をする。約束・マナーを守る事が安心と信頼につながります。さらに相手に対する話し方、気配り等、日頃の業務の中で心掛けしましょう。以下に事例を紹介します。
Q 営業の態度が横柄だ、口の聞き方が悪い。
【状況】 本人は特に意識も無くお客様の気持ちを損なったようです。言い方が冷たい、お客様を見下すような感じで話し、横柄で高圧的だと受け止められました。
A 本人が徹底してお詫びをしましょう。こちらはプロで知識が有るのが当たり前。しかしお客様は素人ですから丁寧に説明し理解して頂きます。クレームの根は残るので工事完了まで注意しましょう。
Q 職人が連絡もなく現場に3日も来ない。
【状況】 連絡もせず風邪で体調不良のため現場を3日間空けました。お客様には住みながらの工事で不便さもあります。また家も留守にできませんし、工期も余り無いので余計に気になったようです。
A 監督と職人でお詫びし、工事の進行状況確認、お客様に今後の工事説明、工期の確約をします。今後はまめに連絡をして現場にも良く顔を出し信頼を回復します。
Q 人間的に許せない。
【状況】 体に障害のある人に気を使わず傷つけるようなことを言った。営業が足の不自由な車いすのお客様に気遣いの無い、つい体のことを言ってしまった。本人は無感性で全く気配りができないため、お客様が気分を害しました。感性がない、営業としても人間としても全く失格です。
A 人権問題になりますので上司または責任者が出向き無神経な会話に深くお詫びをします。工事の進捗状況によっては担当を代える、工事完了時も上司又は責任者は御礼の挨拶をします。お客様の状態を見ていたわるような言葉を掛けることです、また障害者のみならずお年寄りにも気配りをしましょう。
その他の人に関わってクレームが発生するケースとしては、工事が始まっても挨拶がない、月末に契約を迫る、勝手に車を玄関先まで乗り入れた、現場でタバコを吸った、勝手に水を使った、携帯電話で長話をしている、お客の悪口を言ったなどがあります。
≪Profile≫
20年以上にわたり、大手ハウスメーカーの営業所長、事業所長を歴任。その後新設されたリフォーム事業所長に抜擢、8年間で業務・経営効率の改善を図り業績伸長に貢献した。2010年にカーサ企画を設立、現在はリフォームや不動産コンサルティング活動のほかセミナー講師を行っている。
◆會田氏の著書◆
クレーム110番:クレームを5つに分類し、57の事例紹介と解決策、および予防策を解説している。人材教育テキストとして活用するリフォーム会社も多数あり。
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